2013 Fiscal Year Research-status Report
虚血性脳損傷による血液脳関門機能破綻に対する抗酸化ペプチドの保護作用
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24500423
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
卜部 貴夫 順天堂大学, 医学部, 教授 (60291663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下澤 達雄 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (90231365)
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Keywords | 脳虚血 / 白質障害 / 血管内皮細胞 / 血液脳関門 / アドレノメデュリン / 抗酸化ペプチド / 酸化ストレス / 細胞内シグナル伝達 |
Research Abstract |
本研究は虚血性脳損傷による出血性障害と認知障害のメカニズムに関して,抗酸化ペプチドを標的分子として酸化ストレスと白質障害および血液脳関門(BBB)機能破綻の病態との関連を解明し,ペプチドを利用した防御法の確立を目標として立案した. 平成25年度は野生型マウスおよびアドレノメデュリンノックダウン(AM+/-)マウスの慢性脳低灌流モデルを用いて,虚血性白質損傷における酸化ストレスや炎症反応とBBB機能に関して免疫組織化学的に検討を行った.さらに加齢マウスを用いて酸化ストレス,炎症反応およびオリゴデンドロサイトの再生機能の経時変化も検討した.またAM+/-マウスは加齢に伴いインスリン抵抗性が増大し,高血糖状態を来すため,虚血負荷における白質障害への高血糖が及ぼす影響についても検討した. 慢性低灌流モデルでは時間経過とともに大脳白質障害が進行し,血管内皮細胞における誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)の合成が増加し,各種酸化ストレスマーカーと炎症マーカーが増加することを確認した.AM+/-マウスでは慢性虚血における大脳白質障害がより強くなり,各種障害マーカーの発現も増強することを認めた.また,加齢により野生型マウスおよびAM+/-マウスの双方で大脳白質障害が若年グループよりも強くなり,とくにAM+/-マウスでは高血糖状態となっていることが障害をさらに増強させていることを明らかにした.オリゴデンドロサイトの再生に関しては,虚血負荷により前駆細胞の分化が抑制され,このことはAM+/-マウスおよび加齢現象でより強く認められた. 以上のことからAMが欠損すると各種細胞障害因子の制御ならびにオリゴデンドロサイトの分化機能が破綻し,大脳白質障害が発症し進展することが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に従い,研究はおおむね順調に進展している.アドレノメデュリンノックダウン(AM+/-)マウスの1回あたりの供給数に限界があり,抗酸化ペプチド投与による治療効果の検証や培養系を用いた実験系の確立を行うことを予定していたが,25年度には実施できなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進の方策は,In vitro脳虚血モデルを用い血管内皮細胞機能障害に対するアドレノメデュリンの保護メカニズムの解明を進める. 研究を遂行する上での問題点であった,1回に供給されるアドレノメデュリンノックダウン(AM+/-)マウスの数に限界があることについては,研究分担者にその都度研究経過を報告し,早めに準備を依頼することで1回の供給数を補うことができた.本年度は培養系の実験を推進していくため,さらに多くのマウスが必要となる可能性があるため,昨年度同様に研究分担者との連携を十分に取りながら安定した供給を維持していく.
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Research Products
(11 results)