2014 Fiscal Year Annual Research Report
虚血性脳損傷による血液脳関門機能破綻に対する抗酸化ペプチドの保護作用
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24500423
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
卜部 貴夫 順天堂大学, 医学部, 教授 (60291663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下澤 達雄 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (90231365)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脳虚血 / 白質障害 / 血管内皮細胞 / 血液脳関門 / アドレノメデュリン / 抗酸化ペプチド / 酸化ストレス / 細胞内シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は虚血性脳損傷による出血性障害と認知障害のメカニズムに関して,抗酸化ペプチドを標的分子として酸化ストレスと白質障害および血液脳関門(BBB)機能破綻の病態との関連を解明し,ペプチドを利用した新たな脳保護療法の確立を目標として立案した. 平成26年度は,加齢と慢性虚血による白質障害の病態を野生型マウスとアドレノメデュリンノックダウン(AM+/-)マウスとで比較検討を行った.若年群と高齢群の2群に分けて,慢性脳低灌流モデルを用いて,虚血性白質損傷における酸化ストレスや炎症反応とBBB機能に関して免疫組織化学的に検討を行った.またAM+/-マウスは加齢に伴いインスリン抵抗性が増大し,高血糖状態を来すため,虚血負荷における白質障害への高血糖が及ぼす影響についても検討した. 慢性低灌流モデルでは時間経過とともに大脳白質障害が進行し,血管内皮細胞における誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)の合成が増加し,各種酸化ストレスマーカーと炎症マーカーが増加することを確認した.AM+/-マウスでは慢性虚血における大脳白質障害がより強くなり,各種障害マーカーの発現も増強することを認めた.また,加齢により野生型マウスおよびAM+/-マウスの双方で大脳白質障害が若年グループよりも強くなり,とくにAM+/-マウスでは高血糖状態となっていることが障害をさらに増強させていることを明らかにした.オリゴデンドロサイトの再生に関しては,虚血負荷により前駆細胞の分化が抑制され,このことはAM+/-マウスおよび加齢現象でより強く認められた. 以上のことからAMが欠損すると各種細胞障害因子の制御ならびにオリゴデンドロサイトの分化機能が破綻し,大脳白質障害が発症し進展し,この病態は加齢による慢性的な高血糖状態の下でさらに増強することが明らかとなった.
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Research Products
(7 results)