2013 Fiscal Year Research-status Report
依存性薬物による脳幹コリン作動性ニューロンでの新規シナプス可塑性とその意義の解明
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24500432
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
金田 勝幸 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (30421366)
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Keywords | 薬物依存 / コカイン / シナプス可塑性 / 脳幹 / コリン作動性ニューロン |
Research Abstract |
麻薬や覚醒剤による薬物依存の形成には、様々な脳部位における可塑的変化が重要であると考えられている。本研究では、これまで注目されてこなかった脳幹の背外側被蓋核(LDT)に着目し、依存性薬物の一つであるコカインの摂取による可塑的変化の誘導の有無、および、その機能的意義を電気生理学的および行動薬理学的手法を駆使して明らかにすることを目的としている。 昨年度までの研究から、コカインを慢性投与したラットから作成したLDTを含む脳スライス標本にホールセル記録法を適用することにより、LDTコリン作動性ニューロンにおいて興奮性シナプス伝達が可塑的に増強していることを見出した。さらに、この可塑的の誘導にはNMDA受容体の活性化とNOの産生が関わっていることを明らかにした。そこで本年度は可塑的変化が誘導される興奮性入力がどの脳部位に由来するのかを調べる目的で、解剖学的に結合が示されている内側前頭前野(mPFC)からの投射に着目し研究を進めた。コカイン投与前にmPFC内にGABAアゴニストを局所投与し、その活動をブロックするとLDTでのシナプス可塑性は抑制された。したがって、 mPFCからLDTへの興奮性シナプス伝達がコカイン慢性摂取により可塑的に増強することが示唆された。また、条件付け場所嗜好性(CPP)試験を用いた行動薬理学的解析において、コカイン条件付けの際にLDTの活動を抑制すると、コカインによるCPPが抑制されることも見いだした。 以上の結果は、脳幹のLDTコリン作動性ニューロンの活動とそこでの可塑的変化がコカインによる依存形成に重要な役割を果たすことを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的を達成するために記載したH25年度の研究計画をおおむね遂行することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に記載したH25年度以降の研究計画に沿って、LDTで誘導される可塑的変化の機能的意義を行動薬理学的手法を用いてさらに明らかにすることを目指す。
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Research Products
(12 results)