2012 Fiscal Year Research-status Report
脳γセクレターゼ活性の解析とその活性変化がアルツハイマー病発症に及ぼす意義
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24500433
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
森島 真帆 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 招へい教員 (50204722)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アルツハイマー病 |
Research Abstract |
本研究は、γセクレターゼによるアミロイドβタンパク質(Aβ)産生活性の変化が、孤発性アルツハイマー病の発症原因に寄与している可能性を検討する目的で、脳のγセクレターゼ活性を直接的に測定し、γセクレターゼの活性変化と孤発性アルツハイマー病の発症およびAβの脳内沈着との関係を明らかにする研究課題である。本年度は、その第1段階として脳におけるγセクレターゼ活性の測定方法を確立した。 マウス脳よりミクロソーム画分を調製し、ここから得た1%CHAPSO可溶性画分、およびショ糖密度勾配遠心法によりさらに分画したラフト画分を用い、それぞれの画分に含まれるγセクレターゼ活性をin vitro Aβ産生法により比較検討した。また、γセクレターゼ複合体構成因子の分布を調べた。その結果、ラフト画分にはγセクレターゼ複合体が集積しており、高いγセクレターゼ活性を示すことが明らかになった。そこで次に、Aβ産生反応に伴って生じるペプチド産物をLC-MS/MS法により解析し、ラフト画分におけるAPPの膜内切断様式を検証した。その結果、ラフト画分においてもCHAPSO可溶性画分と同様、3残基毎の段階的な切断によりAβが産生されていることが明らかになった。以上の結果に基づき、次年度以降の研究では、ラフト画分を用いて脳のγセクレターゼ活性を測定することに決定した。 本研究で確立した手法を用いて今後の研究課題を遂行することにより、アルツハイマー病の9割以上を占める孤発性アルツハイマー病の発症原因を解明できる可能性があり、成功すれば治療法の確立に繋がる重要な研究である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の進行はやや遅れ気味であったが、最終的には研究実施計画に従って本年度の研究目標を達成できており、ほぼ順調に研究を遂行できていると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のように、ほぼ交付申請書に記載の研究実施計画通りに研究が進行しており、本年度の目標を達成することができているので、次年度以降も交付申請書に記載の研究計画に従って研究を遂行する予定である。 次年度は、マウス脳を用いて、脳の各領域および年齢依存的なγセクレターゼ活性の変化について調べる計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費の次年度使用額は0ではないが、これは平成25年3月31日の支出状況(3月31日に支払い終了のもの)を反映しているためで、実際は、研究費のほぼ全額を本年度中(3月中)に使用済みである。従って、次年度以降の研究費については、交付申請書に記載した当初の計画通りに使用する予定である。
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