2014 Fiscal Year Annual Research Report
脳γセクレターゼ活性の解析とその活性変化がアルツハイマー病発症に及ぼす意義
Project/Area Number |
24500433
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
森島 真帆 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 客員准教授 (50204722)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | アルツハイマー病 / アミロイドβタンパク質 / γセクレターゼ / 脳 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はヒト脳のγセクレターゼ活性を解析し、アルツハイマー病発症に関わる様々な要因との関係について調べた。 本研究では、アルツハイマー病病理であるAβの脳内沈着が起こる前からアルツハイマー病発症初期に至るまでの期間における脳内γセクレターゼ活性を調べて、その変化が発症および病理形成にどのように関与するか、あるいは関与しないかを明らかにすることを目的としている。Aβの脳内沈着はアルツハイマー病の発症より10から20年先行して起こると考えられている。そこで、40歳代から80歳代の正常人の脳、約60例を対象として、γセクレターゼ活性を解析した。脳は前頭葉皮質の一定領域を使用した。γセクレターゼの活性は昨年度と同様に、CHAPSO可溶性画分を用いたin vitro 再構成Aβ産生法により測定した。脳内Aβ蓄積量は、不溶性画分に存在するAβをELISA法で定量した。 測定した脳γセクレターゼ活性を、アルツハイマー病危険因子であるアポリポタンパク質Eの遺伝子多型および年齢と比較検討した。その結果、いずれも相関関係が見られなかった。従って、脳γセクレターゼ活性はアポE遺伝子型による相違はないこと、また中年期から老年期の間では年齢依存的な変化を生じないことが分かった。脳γセクレターゼ活性は、全Aβの脳内蓄積量、Aβ42およびAβ40の蓄積量、Aβ42の全Aβに対する量比ともほとんど相関が見られず、Aβ各分子種および全Aβの脳内蓄積量には関係しないことが明らかになった。 以上の結果から、脳γセクレターゼ活性の量的変化が、アルツハイマー病の発症や病理形成に関与する可能性は低いことが示唆された。しかしながら、産生されたAβの各分子種毎の定量において、最も重要な分子種であるAβ42の検出感度が低く定量に至らなかったため、γセクレターゼ活性の質的変化と疾患の関係については、今後さらに調べて行く必要がある。
|
Research Products
(1 results)