2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24500437
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Research Institution | National Rehabilitation Center for Persons with Disabilities |
Principal Investigator |
長尾 元史 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 運動機能系障害研究部, 研究室長 (00359671)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 神経幹細胞 / アストロサイト / クロマチン |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類の中枢神経系において、アストロサイトは最も数の多い細胞であり、中枢神経系の様々な機能において重要な役割を果たす。アストロサイトはニューロン、オリゴデンドロサイトと同様に神経幹細胞から生み出される。近年の研究により、STATシグナル経路がアストロサイト分化を促進することはよく知られているが、アストロサイト分化の分子メカニズムについては未だ不明な点も多い。本研究では、脳の発生過程において、クロマチン制御因子であるHMGNファミリータンパク質(HMGN1、2、3)が、アストロサイト分化を促進することを明らかにした。HMGNファミリータンパク質は、出生前後、あるいは成体の脳において、神経幹細胞、グリア前駆細胞、アストロサイトで発現していた。培養したマウス神経系前駆細胞で、HMGN1、2、3を過剰発現させたところ、アストロサイト分化は促進され、ニューロン分化は抑制された。逆に、ノックダウンすると、アストロサイト分化の抑制とニューロン分化の促進が観察された。さらに、マウス個体内の神経系前駆細胞でHMGN1、2、3を過剰発現またはノックダウンしても、同様の結果が得られた。重要なことに、HMGNファミリータンパク質の過剰発現はSTATを活性化しないが、ノックダウンは、STATシグナル経路を活性化するCNTFによるアストロサイト分化促進を顕著に抑制した。以上より、HMGNファミリータンパク質は、STATシグナル経路と並列またはその下流ではたらき、アストロサイト分化を促進する新規のクロマチン制御因子であることが示唆された。
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