2012 Fiscal Year Research-status Report
マウス嗅神経細胞におけるカルシウムシグナルの光操作
Project/Area Number |
24500456
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
石井 智浩 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60549947)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | オプトジェネティクス / カルシウムシグナル |
Research Abstract |
カルシウムイオンはあらゆる真核生物においてセカンドメッセンジャーとして使われ、そのシグナルは極めて多様な細胞応答を引き起こす。本研究はカルシウムシグナルを光制御できる光遺伝学ツールを作製し、マウス個体への応用を目指している。本年度はカルシウムチャネル光制御タンパク質の作製・改良、及びトランスジェニックマウスの作製を行った。植物タンパク質の光受容ドメインとヒトのカルシウムチャネル制御タンパク質を組み合わせて様々な融合タンパク質を作製し、その中から光により効率良くカルシウムチャネルを制御できる光スイッチを選び出した。本カルシウムチャネル光スイッチをHEK293Tに発現させ、カルシウム指示薬を用いて細胞内カルシウムイオン濃度変化を経時的に観察した。光をON/OFFさせることでカルシウムシグナルを可逆的に変化させることができた。また光の強度を変えることでカルシウムシグナルの大きさを調整することができた。カルシウムチャネル光スイッチをマウス個体に導入するために、組換えアデノウイルスベクターの作製とトランスジェニックマウスの作製を行った。組換えアデノウイルスベクターに関してはカルシウムチャネル光スイッチと赤色蛍光タンパク質を同時発現するウイルスベクターを作製し、COS-7細胞などで発現及び活性を確認した。またトランスジェニックマウスに関しては、特定の嗅神経細胞群でカルシウムチャネル光スイッチを発現するトランスジェニックマウスラインを確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カルシウムチャネル光スイッチの設計に関して、候補の絞り込みと変異やリンカーの検討が計画通りに進んだこと、スクリーニングの系が簡便かつ適切だったことにより、大きなトラブルもなく研究を進めることができた。トランスジェニックラインも問題なく得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
作製したカルシウムチャネル光スイッチの特性の解析と個体への応用を試みる。 特性に関しては様々な細胞種(神経細胞、分泌細胞、ショウジョウバエの細胞など)を用いた検討、カルシウムイオン特異性の検討、カルシウムイオン濃度の測定を行う。具体的には主にカルシウムイメージングやパッチクランプの手法を行う。 個体への応用に関しては、組換えアデノウイルスを組織に感染させ光によるカルシウムシグナルの誘導を確認、さらに細胞応答を解析する。またトランスジェニックマウスでは嗅神経細胞の軸索投射に注目して解析を進める。最初は嗅覚組織を用いてのカルシウムイメージングや電気生理実験(嗅電図)を行い、光によるカルシウムシグナルの変化を解析する。その後、生きたマウスを用いて嗅神経細胞局所的にカルシウムシグナルを誘導し、軸索投射への影響を観察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は培養細胞とマウス個体を用いた解析を主に行うため、研究費は当初の計画どおり、実験用動物の費用、培養細胞関連(プラスチック器具など)の費用、実験試薬の費用、学会発表の旅費に使用する。
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