2014 Fiscal Year Research-status Report
動的に活動する大脳皮質神経回路におけるnNOS細胞の機能
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24500457
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
遠藤 利朗 名古屋大学, 環境医学研究所, 准教授 (30353436)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | nos |
Outline of Annual Research Achievements |
大脳皮質視覚野の神経型一酸化窒素合成酵素(nNOS)発現細胞のうち、I型nNOS細胞はP物質(substance P, SP)受容体(neurokinin 1, NK1)に対する抗体染色で強く且つ特異的に染色されることから、SPの作用を詳しく調べることはI型nNOS細胞の機能を解析するうえで必須である。このような観点から、昨年度までに、SPによってI型nNOS細胞でCa2+透過性の非選択的陽イオン電流が誘発されること、そしてそれはホスファチジルコリン特異的ホスホリパーゼC(PC-PLC)の依存性の信号伝達経路に依存すること、また、PC-PLCが阻害された状況ではSPはある種のK+チャネルを抑制すること、そして、SPによって活性化される非選択的陽イオンチャネルについては、transient receptor potential (TRP)チャネルの一種であることを示唆する結果を得た。本年度は、以上の成果を日本神経科学会で発表し、また論文としてまとめCerebral Cortex誌に発表した。ついで、nNOS細胞の薬理学的性質についてさらに詳しく明らかにすることにし、ムスカリン型アセチルコリン受容体の活性化のnNOS細胞に対する効果について検討した。ムスカリン受容体のアゴニストであるoxotremorine Mを投与したときのnNOS細胞の反応を調べたところ、多くのnNOS細胞で外向き電流が誘発され、過分極を示した。この反応に対してムスカリン受容体のサブタイプ選択的な阻害薬の効果を検討し、現時点では、主にM3タイプが寄与していることを示唆する結果を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画のうち大脳皮質のnNOS発現細胞の性質を詳しく調べる部分は相当程度達成できているが、徐波睡眠様活動中のnNOS細胞の活動についてはまだ実験が進んでいない。よって上のように評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
予備実験において大脳皮質の急性スライス標本で徐波睡眠様活動を誘発できていたが、確実に安定的に誘発できる条件を確立出来ていないため、まずその条件を検討する必要がある。
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Causes of Carryover |
平成26年度の前半に、研究成果の一部を論文にまとめて発表することとなったが、その執筆、および査読者から求められた修正に想定していた以上に時間をとられたことにより、予定していた実験が遅れた。その実験のために使用する予定であった費用が未使用となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究計画で予定していた実験を継続する予定であり、その実験に使用するマウスの購入費用、遺伝子改変マウスの飼育・管理費用、および実験に使用する試薬の購入費用に充てる予定である。
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