2012 Fiscal Year Research-status Report
満腹中枢リズミック活動の神経機構と生理学的意義の解明
Project/Area Number |
24500473
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
飯ヶ谷 嘉門 昭和大学, 医学部, 普通研究生 (80445204)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鬼丸 洋 昭和大学, 医学部, 准教授 (30177258)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 脳神経 / 摂食 / 交感神経 |
Research Abstract |
視床下部腹内側核(VMH)は満腹中枢として知られているが,このほかに性行動や声音など様々な機能を持つことが知られている.今回我々はこのVMHのニューロンに強いリズミックバースト活動があることを世界で初めて発見した.本研究ではVMHのリズム活動の発生機構と生理学的役割を明らかにすることを研究目的とする. 24年度は,灌流液内のglucose濃度(2mM,10mM,30mM)を変化させ,それぞれのリズム活動の周波数の違いを比較検討した.またバースト発生における抑制性神経回路の関与を検討するため,GABA及びGABAA受容体ブロッカーの作用を調べた.また各種摂食関連ペプチドの作用のスクリーニングテストを行った. ラット視床下部スライス標本において,膜電位イメージングまたはカルシウムイメージングを用いた光学的測定法または電気生理学的方法を用いて視床下部腹内側核(VMH)ニューロンの神経活動を記録した.いずれの方法においても,VMHの背外側エリアを中心に,ニューロンの同期したバースト活動が記録できた.バーストのinterval は15秒前後で,1バーストの持続時間は10秒前後であった.Glucose濃度を10 mMから30 mMに上げるとバースト頻度は減少した.逆に10 mMから2 mMに下げるとバースト頻度は増加した.バースト活動はGABAにより抑制された.摂食関連ペプチドとして,オレキシン、インスリン、ガラニン、グレリンなどをテストした.その結果,ガラニン,グレリンはバースト活動の抑制作用を引き起こし,オレキシン,インスリンなどは興奮作用を引き起こした. VMHのリズム活動はGlucose濃度や摂食関連ペプチドなどで影響をうけることがわかった.VMHのリズム活動を調節できれば肥満のコントロールにつながることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基本的な記録条件を確立した。膜電位イメージングとカルシウムイメージングおよび電気生理学的実験を用いて絶食状態と満腹状態における基本的なVMHニューロンの神経活動を記録した。また絶食状態と満腹状態において灌流液内のglucose濃度(2mM、30mM)を変化させ、それぞれのVMHニューロンのリズム活動の周波数の違いを比較検討した。glucose濃度2mMではVMHニューロンのバースト活動の周波数は増加し、glucose濃度30mMでは減少した。この結果は膜電位イメージング、カルシウムイメージング、電気生理学的実験いずれにおいても同様の結果だった。左右のVMHのバーストリズム活動の左右差およびタイミングの違いも認められその傾向は一貫していた。細胞の基本的な性質を調べるためにGABA、ビククリン、アドレナリン、イソプロテレノロールを灌流した。、 摂食関連ペプチドとして,オレキシン、インスリン、ガラニン、グレリンなどをテストした。 VMHの基本的なバースト活動の記録と基本的なニューロンの性質および摂食に関わるペプチドの実験を行えており平成24年度の目的は概ね到達していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
摂食関連ペプチドのうち,まだテストしていないcocaine-amphetamine regulated transcript (CART)やcholecystokinin (CCK)α-melanocyte-stimulating hormone (α-MSH)、thyrotropin-releasing hormone (TRH)、corticotropin releasing hormone (CRH)、neuropeptide Y (NPY)、Melanin concentrating hormone (MCH)、agouti-related polypeptide (AgRP)などについて調べる必要がある。特にグレリンについて注目してさらに詳細な解析を行う.また電気生理学的実験を行った標本からスライス標本を作製しLucifer yellowで染まった神経細胞を観察し、VMH内の局在について調べる必要がある。また並行して論文制作も行っていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
薬品代などの物品費,論文作成のための費用,謝金,学会参加費など当初の予定に従って使用する.
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[Journal Article] Importance of rostral ventrolateral medulla neurons in determining efferent sympathetic nerve activity and blood pressure.2012
Author(s)
Kumagai H, Oshima N, Matsuura T, Iigaya K, Imai M, Onimaru H, Sakata K, Osaka M, Onami T, Takimoto C, Kamayachi T, Itoh H, Saruta T.
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Journal Title
Hypertens Res
Volume: 35
Pages: 132-141
DOI
Peer Reviewed
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