2014 Fiscal Year Annual Research Report
動機づけシステムの脳内神経基盤の解明とアパシーの新規治療
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24500483
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
山口 修平 島根大学, 医学部, 教授 (80135904)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アパシー / 事象関連電位 / 内発的動機づけ / 報酬系 |
Outline of Annual Research Achievements |
自発的な行動の欠如状態であるアパシーは,多くの精神神経疾患で高頻度に出現する情動行動障害であり,認知機能低下に強く関与している。その病態を解明するために本研究では,動機づけの基盤にある神経ネットワーク活動を事象関連電位(ERP)により解析し,アパシーの病態を反映する客観的指標として確立することを目的とした。報酬と関連する外発的動機づけと自発的な内発的動機づけをそれぞれ独立かつ同時に評価できる神経心理課題を作成した。課題は刺激弁別にFeedback刺激を組み合わせたものである。単純な弁別刺激に対する反応から2.5秒後にFeedback刺激を提示した。Feedbackでは反応時間が基準よりも何十ミリ秒速いか遅いかを提示した。報酬あり条件では,その値がそのまま金銭的報酬となり,報酬なし条件では金銭的報酬は伴わなかった。統制条件では反応速度とは無関係にランダムな結果を提示した。そしてこの弁別反応時間課題遂行時の脳波を測定し,ERPを求め,個人特性との関連を検討した。行動データより,内発的動機づけ(課題そのものに対する興味)を反映する報酬なし条件における反応時間とアパシーは有意な関連を示し,アパシーの程度が高いほど報酬なし条件における反応時間は遅かった。Feedback刺激に対するフィードバック関連陰性電位(FRN)振幅を検討したところ,報酬あり条件において報酬依存と相関を示した。報酬依存の程度が高いほど,FRN振幅は大きいことを示した。本年度の検討では,アパシーが内発的動機づけに関与することを行動的に明らかにした。異なる課題を用いた前年度の検討では報酬を伴う文脈においてFRN振幅がアパシーと関連することを明らかにした。これらの結果はアパシーが外発的及び内発的動機づけの双方に関与する可能性を示唆している。
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Research Products
(14 results)