2012 Fiscal Year Research-status Report
マウス<->ラットキメラを用いたノックアウトラット作製法の開発
Project/Area Number |
24500490
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
磯谷 綾子 大阪大学, 微生物病研究所, 特任准教授 (20444523)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 遺伝子組み換え / モデル動物 / 異種キメラ |
Research Abstract |
“ラット”は、マウスに比べ体が大きいため生体試料(尿や血液など)を経時的に採取できるので、外科手術モデルや薬物・栄養代謝の研究に利用しやすい。さらに人を識別して慣れる性質をもつことから、学習・記憶の研究に汎用されている。“ラット”にはこのような利点があるため、ノックアウトラットの作出は、実験動物学において重要な位置を担っている。しかし、ノックアウトラットの作出には、広い飼育スペースが必要でかつ、受精胚の安定的な供給が難しいといった問題点を抱えている。この問題を解決する方法として、申請者はマウス胚にラットES細胞を打込んで誕生する異種キメラに着目し、ノックアウトラット新規作製法の開発を目指している。 H24年度は、全身だけでなく精子頭部にもGFPシグナルをもつGBGSラットからES細胞の樹立を試み、ES細胞特的マーカー(ALP、Oct4、Nanog、SSEA1)を発現する細胞株を樹立した。この細胞株をマウス胚にインジェクションすると、GFPで標識されたラット由来の細胞をもつマウス←ラットキメラを誕生させることができ、ラットGBGS-ES細胞の樹立に成功した。また、このマウス←ラットキメラの精巣内において、GFPで標識されたES細胞由来の精子を検出することができたので、顕微授精法によって、その発生能について検証した。その結果、ラットGBGS-ES細胞由来の産仔を得ることができ、マウス←ラットキメラからも顕微授精法を用いることによって、ラットES細胞のgermline transmissionに成功した。 また、同時に樹立したラットGBGS-ES細胞を用いて、ジーン・ターゲティングを行いノックアウトES細胞のクローニングに成功している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H24年度には、ラットGBGS-ES細胞を樹立することに成功し、マウス←ラットキメラを作製することによって、生殖系列への寄与を確かめることができた。また、顕微授精を行うことによって、マウス←ラットキメラからもラットES細胞のgermline transmissionに成功した。さらには、相同組換えによってノックアウトのラットES細胞のクローニングにも成功しており、当初の計画通り順調に研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、マウス胚にラットES細胞を打込んで誕生するマウス←ラットキメラを用いて、ノックアウトラット新規作製法の開発を目指している。 H24年度に全身だけでなく精子もGFPで標識されるGBGSラット由来のES細胞を樹立し、顕微授精によってマウス←ラットキメラよりラットES細胞のgermline transmissionに成功した。したがって、今後は相同組換えによりノックアウトアレルを持つラットES細胞をマウス胚に打ち込んでマウス←ラットキメラを作製し、同様の実験系を用いて、ノックアウトラットを作製し、解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「該当なし」
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