2012 Fiscal Year Research-status Report
スフィンゴ糖脂質による血糖調節モデルの開発と脂肪組織炎症に関与する分子病態の解明
Project/Area Number |
24500495
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
三好 一郎 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10183972)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡村 匡史 独立行政法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 室長 (00333790)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 疾患モデル / スフィンゴ糖脂質 / 血糖調節 / 遺伝子組換えマウス / 脂肪組織 |
Research Abstract |
これまでに我々が作製した,スフィンゴ糖脂質(GSLs)合成経路の鍵であるグルコシルセラミド合成酵素(Ugcg)活性の高い,あるいは低い遺伝子組換えマウスは,耐糖能およびインスリン感受性に関して対照的な傾向を示した。本研究では,Ugcg遺伝子組換えマウスが,高脂肪食給餌により明確な2型糖尿病の病態を示すか,特に免疫機能のバランスの破綻の観点から脂肪組織の慢性炎症に関わる免疫細胞やアディポサイトカイン分子等を解析する。さらに,GSLsがインスリン分泌障害やインスリン抵抗性を惹起する分子機構の解析を試み,血糖調節モデルとしてUgcg遺伝子組換えマウスの新規性や有用性を評価する。 今年度は,以下の項目について研究を実施した。 1.Ugcg ノックアウトヘテロ接合体(KoHe)および,ニワトリβアクチンプロモータ/サイトメガロウィルスエンハンサー(CAG)調節領域遺伝子のもとでヒトUgcg cDNA遺伝子を発現するトランスジェニックマウス(TgM)を維持・繁殖した(継続中)。 2.高脂肪食給餌によるKoHeおよびTgMマウスの病態解析は,現在進行中である。 3.Ugcgコンディショナルノックアウトマウスの作製について,loxP配列を挿入したUgcg floxマウス,およびLacZ遺伝子を挿入したUgcg-LacZKIマウス,Cre-ERT2トランスジェニックマウスの交配により,UgcgアリルにUgcg-flox およびUgcg-LacZKI 両組換え遺伝子, Cre-ERT2導入遺伝子を持つマウスを樹立した。予備実験では,タモキシフェンの経口投与によりUgcg-floxアリルの組換えを誘導できることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
KoHeおよび,TgMを繁殖・生産しているが,喰殺等の理由により当初の計画に比較してコロニーが大きくならず,実験に供する個体数が十分に得られなかった。そのため,高脂肪食給餌によるKoHeおよびTgMマウスの病態解析等の以降の実験が遅れている。 Ugcgコンディショナルノックアウトマウスの作製について,両UgcgアリルをUgcg-flox およびUgcg-LacZKIで置換し,さらにCre導入遺伝子を持つ遺伝子組換えマウスを樹立するには計算上でも1年以上を要するが,現実には2年は必要かもしれない。今年度,幸運にも,Cre導入遺伝子としてCre-ERT2を持つ両Ugcgアリル遺伝子組換えマウスを樹立できたが,異なる組織特異的プロモーター―Cre導入遺伝子を持つ数系統のマウスを樹立するにはかなりの困難が予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
1.計画している各種遺伝子組換えマウス系統(Ugcg TgMおよびKoHe,Ugcgコンディショナルノックアウト)の樹立,並びに繁殖・生産に際し,フィルターキャップやエンリッチメントにより,離乳率や生産効率等の向上を目指し計画遂行を推進する。 2.高脂肪食を投与し,経時的体重変化や各種血液指標(アディポサイトカイン,血糖,遊離脂肪酸など),耐糖能,インスリン抵抗性・分泌能に関して,KoHeとTgMを比較する。また,様々な臓器について,Ugcg活性やGSLs組成などの生化学的解析および病理学的検索を行い,末梢神経障害や腎障害,細小血管障害などの合併症の有無を調べる。 3.免疫組織化学的染色およびFACSにより脂肪組織間質の炎症の活性化を抑制する細胞〔常在マクロファージ,2型ヘルパーT(Th2)細胞,制御性T(Treg)細胞など〕および,炎症プロセスを促進する細胞(CD8+T細胞や M1 マクロファージなど)のプロファイリングを行う。また,主要な制御細胞であるM1・M2マクロファージを分離し,アディポサイトカイン〔2型糖尿病を悪化させるmonocyte chemoattractant protein (MCP)-1, aP2, plasminogen activator inhibitor (PAI) -1, TNFα,遊離脂肪酸,IL6等,および,その改善に関わるレジスチンやアディポネクチン,レプチン,連携研究者・北村が同定した新規分子M-mod〕の発現を転写レベルあるいはタンパクレベルで解析する。 4.Ugcgコンディショナルノックアウトマウスに高脂肪食を投与し,(2)と同様に解析する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Exclusive expression of VMAT2 in noradrenergic neurons increases viability of homozygous VMAT2 knockout mice.2013
Author(s)
Ohara A, Kasahara Y, Yamamoto H, Hata H, Kobayashi H, Numachi Y, Miyoshi I, Hall FS, Uhl GR, Ikeda K, Sora I.
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Journal Title
Biochem Biophys Res Commun.
Volume: 432(3)
Pages: 526-532
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Possible involvement of a novel macrophage molecule in pathogenesis of type 2 diabetes.2012
Author(s)
Kitamura H, Ohara O, Kimura S, Miyamoto T, Ito M, Shimamoto Y, Naoe Y, Okabe J, Hase K,Watarai H, Miyoshi I
Organizer
The 4th EMBO meeting
Place of Presentation
Nice Acropolis Convention Center (Nice, France)
Year and Date
20120922-20120925
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[Presentation] Roles of a macrophage molecule M-mod in type 2 diabetes.2012
Author(s)
Kitamura H, Ito M, Kimura S, Shimamoto Y, Miyamoto T, Watarai H, Okabe J, Iwanaga T, Ohara O, Miyoshi I
Organizer
Experimental Biology 2012.
Place of Presentation
San Diego Convention Center (San Diego, USA)
Year and Date
20120421-20120425
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