2014 Fiscal Year Annual Research Report
新たな白内障モデル動物の開発:水晶体破裂と眼内炎抑制に関する研究
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24500496
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
岡田 利也 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (00169111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
向本 雅郁 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (80231629)
中川 博史 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 助教 (60336807)
近藤 友宏 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 助教 (40585238)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 疾患モデルマウス / 水晶体破裂白内障 / 水晶体上皮 / 熱ショック蛋白 / Bcar3 / 細胞増殖因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はCF#1系マウスに新たに発見された遺伝性水晶体破裂マウス(CF#1/lrマウス)の特性を明らかにし、眼内炎発症抑制機構に関する解析を行うことによって新しい疾患モデル動物として確立することを目的としている。本年度は以下の成績を得た。 ①肉眼的観察において、水晶体混濁の進行とともに、点状(pinhead)、大きな点(large)、真っ白(white)になり、それらの病変はそれぞれ3週齢、4週齢、6週齢から認められた。組織学的にはまず水晶体線維の膨化が、続いて水晶体上皮の空胞化が認められ、その後水晶体皮質の空胞化と水晶体核の脱落が引き起こされることがわかった。 ②発症パターン別にFGF1, 2及びそのレセプター(FGFR1~FGFR4)ならびにTGF-β1及びそのレセプター(TGF-βRIとTGF-βRII)の局在を調べた。水晶体上皮細胞のFGF-1抗体に対する反応はwhiteで、TGF-β1抗体に対する反応はlargeで対照群に比べて強かった。 ③熱ショック蛋白で、そのシャペロン機能によって水晶体の透明性を保つαB crystallin及び同じく熱ショック蛋白で、障害から水晶体を防御するHspB1の発現はlargeで対照群に比べて弱かった。αB crystallinの変異体で、水晶体に障害を与えるリン酸化(P)αB crystallinの発現は発症パターンに関わらず、対照群に比べて弱かった。 以上のことから、CF#1/lrマウスの発症に関連してFGF-1、TGF-β1の発現の増加、αB crystallin、HspB1の発現の減少が起こっていることがわかった。また、αB crystallinの減少にもかかわらず、PαB crystallinの増加が見られないことが、水晶体破裂を示すにもかかわらず、眼内炎を発症しないという本マウスの特性に関係しているものと考えられた。
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