2013 Fiscal Year Research-status Report
肺パスツレラの病原因子の同定とそれらが宿主の免疫応答に及ぼす影響
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24500497
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
佐々木 啓 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 助教 (20384969)
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Keywords | 肺パスツレラ / IbpA / 赤血球凝集素 / リン酸化 |
Research Abstract |
肺パスツレラの病原因子を特定するため、菌体外に分泌される高分子タンパク質に標的を絞り解析した。その中でも約470-kDaもの巨大タンパク質の解析を行った。このタンパク質はN末端部をHistophilus somni のIpbAやP. multocidaが産生する赤血球凝集素と相同性がみられた。H. somniのIbpAとN末端部の相同性が高いため、イムノグロブリン (Ig)との結合性があるかを特異的抗体を作製し試験した。ELISAおよび免疫沈降 (IP)を行った後のウエスタンブロット (WB)でのマウスIgGとの結合性を試験した結果、マウスIgGと結合することが観察された。そのためこのタンパク質を肺パスツレラIbpA (Immunoglobulin-binding protein A)と命名しコードする遺伝子配列をGenBankに登録した (ibpA: accession no. AB919058, ibpB: AB919059)。 また、C末端部は相同性のある細菌タンパク質はほとんどなかったが、数十アミノ酸残基の繰り返し配列から構成されていた。これらの中にはHelicobacter pyloriのCagAに見られるEPIYA-motifに類似した配列が複数存在することが観察された。この配列は感染宿主のキナーゼによりチロシン残基 (Y)がリン酸化されることが解明されており、H. pyloriの重要な病原因子であると考えられている。そのため、肺パスツレラIbpAのチロシン残基がリン酸化されるかマウスマクロファージ細胞 (MΦ)を用いIP-WBで試験したところ、マウスMΦに肺パスツレラを感染して2時間以上経過してからリン酸化されることが観察された。今後は様々な条件でリン酸化に関与するキナーゼの特定や細胞内リン酸化IbpAの役割について検討していきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2013年度は4月から所属機関を異動したため、実験環境を整えることに注力し計画に付随した十分な実験が行えなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在も実験環境を整備している状況であるため、遺伝子解析や動物実験などは外部受託機関やほかの機関の協力研究者とともに進めていこうと考えている。また、病原性因子については、高分子タンパク質と宿主細胞応答に絞り解析を進めていく計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度は所属を異動したため、実験環境の調整に時間を費やし、十分な実験時間が取れなかった。 次年度は引き続き実験環境を整えるとともに、外部の機関を利用し遺伝子解析や動物実験を行っていく予定である。
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Research Products
(6 results)