2013 Fiscal Year Research-status Report
ヒト疾患モデルへの応用を目指したコモンマーモセットの腸管病原性大腸菌症の病態解明
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24500499
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Research Institution | Central Institute for Experimental Animals |
Principal Investigator |
林元 展人 公益財団法人実験動物中央研究所, その他部局等, 研究員 (30332208)
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Keywords | コモンマーモセット / 腸管病原性大腸菌 / ヒト感染モデル |
Research Abstract |
コモンマーモセット(以下、マーモセット)の血便由来eae遺伝子保有大腸菌の当該宿主への病原性を実験感染により明らかにすることを目的に感染実験を実施した。マーモセット血便由来EPECE R81 株を用い、感染群2群、各4匹(高濃度群:10^8 CFU/ml、低濃度群:10^4CFU /ml)とコントロール群2匹、の計3群、10匹を設定した。そして菌液接種後3日目(感染群のみ各2匹)、14日目(全群各2匹)にそれぞれ剖検を行った。高濃度群において、2匹に軽度の元気消失がみられ、菌液接種後1日、2日でそれぞれ血便を排出した。残りの2匹は元気消失が認められないものの、接種後2日で血便を排出した。軽度の元気消失が見られた個体2匹において、接種後3日に剖検した結果、大腸全長において弛緩が認められた他、大腸内の泥状内容物貯留、結腸粘膜面の点状出血が認められた。元気消失が認められなかった2個体において、1匹は接種後4日で、もう1匹は接種後7日で血便症状が退行した。接種後14日のこれら2個体の剖検の結果、腸間膜ならびに回盲部リンパ節の腫大が認められたものの、大腸の弛緩、粘膜面の出血等は認められなかった。低濃度群では実験期間を通じて、血便症状を呈する個体は観察されなかった。また、剖検時に主要臓器に著変は認められなかった。また、全ての感染群の個体の盲腸、結腸において当該大腸菌が再分離された。陰性対象群の2匹においては消化器症状と当該大腸菌の分離は認められなかった。 これらの結果からEPECはマーモセットの出血性大腸炎の起因菌になることが明らかになったと同時に、マーモセットは本菌のヒト感染モデルとなる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物施設の空き状況から、平成26年度の予定を前倒しし平成25年に実施した。平成25年に予定されていた研究のいくつかは最終年である平成26年に終了予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は、菌のIn vitro実験のアプローチの強化が必要である。 特に、EPECヒト由来株とマーモセット由来株の網羅的な遺伝子解析、比較により病態発生のメカニズムに迫りたいと考えている。本内容は平26年度分の助成金額、現状のエフォートにて遂行可能であると考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H26年実施予定であった感染実験を施設の都合により前倒しし行った為 H26年に実施予定のH25年度実験予定を進めることにより使用は可能と考える
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