2013 Fiscal Year Research-status Report
ヒト化肝臓マウスを用いた糖尿病の新規遺伝子治療法技術の確立
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24500500
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Research Institution | Central Institute for Experimental Animals |
Principal Investigator |
橋本 晴夫 公益財団法人実験動物中央研究所, その他部局等, 研究員 (30353478)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 裕一郎 公益財団法人実験動物中央研究所, その他部局等, 研究員 (00596281)
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Keywords | アデノ随伴ウィルス / ヒト化肝臓マウス / 糖尿病 |
Research Abstract |
PDX-1遺伝子導入後肝臓から膵β細胞への変換過程の解明として、マウス肝細胞およびヒト由来のHepaRG細胞を用いた。これらの細胞はPDX-1遺伝子を導入しても、その形態は対照と比較して変化はなく、肝臓のマーカーであるアルブミンの発現を示し続けていた。また、β細胞への変換が起きているなら、アルブミン陽性細胞の数は減少しているはずである。そこでPDX-1遺伝子を導入したマウス肝細胞およびHepaRG細胞のアルブミンとベクターが持つ蛍光遺伝子のFACS解析を行った。その結果、PDX-1遺伝子をそれらの肝細胞に導入しても、アルブミン陽性細胞の数は変化しなかった。これらの結果からPDX-1遺伝子の導入により肝細胞からPDX-1遺伝子を導入された肝細胞は、従来から提唱されているβ細胞への変換ではなくインシュリン分泌機能の獲得であると思われた。 PDX-1を持つセロタイプ8型のアデノ随伴ウィルス(AAV_DJ/8_PDX-1)の作製が困難であったが、作製の容易なAAV2に切り替え、トランスジーンのプロモーターをEF1alphaからCMVに変更した結果、感染力を持つAAV2_PDX-1を得ることができた。AAV3およびAAV_DJ/8も同様の処置と抽出にopti-prepへの変更により得ることができた。先ず、予備実験としてSTZにより糖尿病を誘発したマウスに脾臓を介して(isp)7×10の11乗GCを投与した結果、STZにより130mg/dlから500mg/dlに上昇した血糖値を、320mg/dlまで抑制することができた。しかし、同量のAAV2_PDX-1を静脈に投与しても効果は得られなかった。以上のことをまとめると、AAV2_PDX-1は、CMVプロモーターの選択とisp投与によりマウスへの血糖抑制効果を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AAV_DJ/8_PDX-1の作製が困難を極めていたが、トランスジーンのプロモーターと抽出方法の改良により、PDX-1を持つAAV2、AAV3、AAV_DJ/8の作製効率を上げることができた。さらにSTZによる糖尿病誘発マウスを用いた高血糖抑制効果も確認しているので、ヒト化肝臓マウスを用いた実験を残すだけとなっている。従って、おおむね順調であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
残る実験はヒト化肝臓マウスを用いた実験のみである。当面は作製の容易なAAV2を用い、AAV2_PDX-1-GFP、AAV2_PDX-1-Ngn3-GFPおよび対照であるAAV2_GFPでの実験を行う。ヒト化肝臓マウスでもAAV2_PDX-1-GFPおよびAAV2_PDX-1-Ngn3-GFPの血糖抑制効果がみられた場合、AAV3およびAAV-DJ/8での実験に展開する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は、生産効率の良いAAV2を中心に作製した。この時のプラスミド導入試薬であるFuGeneHD(Invitrogen)の使用量が若干節約できたので、研究費の余剰が発生した。 消耗品の購入に充当する。
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