2013 Fiscal Year Research-status Report
高照度環境対応高精度視線検出のための開口部内2波長光出射光学系の開発基礎研究
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24500507
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
海老沢 嘉伸 静岡大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40213574)
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Keywords | ヒューマンインタフェース / 瞳孔検出 |
Research Abstract |
カメラで眼球の瞳孔と光源の角膜反射を検出し、それらの相対位置に基づいて視線を検出する方法は、高精度な視線検出ができる。しかし、高照度条件下では瞳孔が極端に小さくなり、瞳孔が検出困難となる。本研究の目的は、安全運転支援などを念頭に瞳孔が極端に小さくなる高照度下でも視線検出を容易とする基礎技術を研究開発することである。 前年度、明るい瞳孔を得ることを目的に、開口部内から近赤外線を照射するために、ミラー反射型のハイパワーLED、1個の光を集光し、45度傾けた小型楕円ミラーを反射させる方法で瞳孔を光らせることに成功した。しかし、LEDの電極が顔に影として映り、障害となり改善の見込みがないと判断した。今年度は、光学系全体の小型化も意識して、2㎜角強で背丈も低い超小型LEDを多数並べ、集光せずハーフミラーを使用して、等価的に開口部内および開口部の近傍から光を射出し、顔に照射し、明瞳孔を得る方法を実施した。また、暗瞳孔用LEDは、むしろ開口部外のほうが瞳孔を暗くすることができるため、ミニレンズを取り付けたカメラの開口部まわり並べた。画像が2重像にならないようにハーフミラーを工夫した。また、光が光学系の中の各所で反射して画像が汚れるのを防ぐために使用波長領域の光を吸収する植毛紙を探し利用した。その結果、効果が大きいことを確かめた。ハーフミラー、カメラ、多数のLEDを固定したボックスは4cm角弱の直方体になり、昨年度よりも軽量化できた。被験者から60㎝程度離れた位置から、被験者の瞳孔が光ることを確かめた。また、微小な角膜反射も検出可能であることを確かめた。さらに、眼鏡を着用している被験者において発生する、瞳孔の誤検出につながりやすい眼鏡反射も、画像差分により除去できることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本方式では、瞳孔の明るい画像と暗い画像を得て、それらを画像差分して瞳孔を検出する方法を基本としているが、現状では、明瞳孔画像の画像が汚れており、差分しても瞳孔がやや難しい状態である。したがって、現状では、小さい瞳孔まで検出できる状態には至っていない。 しかし、最終的に用いる高速度カメラを使用した技術は別途、確実に積み上げている。また、今年度の試みの結果、装置の小型化の見込みも出てきた。 当初、偏光ビームスプリッタ―と1/4波長板を使用した眼鏡反射除去の検討をする予定だったが、逆に偏光ビームスプリッタ―と1/4波長板した場合、角膜反射も消失してしまう可能性が高いという考察に至った。一方で、今年度、試作した光学系でも、明瞳孔画像と暗瞳孔画像のそれぞれに現れる眼鏡反射像が画像差分によって打ち消されることが示唆されたため、これでほぼ代用できる。
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Strategy for Future Research Activity |
ハーフミラーを使用する方法は継続する。等価的に開口部内および開口部からごく近い位置から光を射出することにより、小さな瞳孔でも明瞳孔がより明るくなると考えられる。同時に、光の通過する断面積が小さくなるので、画像が汚れる原因となる様々なところで反射を防ぐ方策がとりやすくなる。さらに、装置の小型もできる。そのために、小さなLEDもしくは、集積化したLEDを探し、明瞳孔画像を得るための光源を小さな領域に集中させる。もしくはLEDの数を減らすための方策を試みる。
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