2012 Fiscal Year Research-status Report
低血糖症の早期発見を目的とした低侵襲パッチ型グルコースセンサの開発
Project/Area Number |
24500510
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
安澤 幹人 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (70210250)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | バイオセンサ / 血糖値 / 低血糖症 / 低侵襲 / CGMS / 糖尿病 / 酵素電極 / パッチ |
Research Abstract |
本研究では、課題1:洞穴先端を有する微細電極作製技術の確立、課題2:洞穴先端を有する微細センサ形状の最適化、課題3:洞穴先端を有するプラスチックフイルムタイプセンサ作製およひ最適化の3課題を達成する必要かあるが、24年度は、白金管を用いて主に課題1の検討を行った。白金管を用いたセンサの作製技術を確立するため、1)白金管外部表面への絶縁性薄膜形成技術、2)微小センシング部位へのヒンホイント酵素固定技術、および3)銀/塩化銀薄膜電極形成技術の検討を行った。絶縁性薄膜形成では、ペルヒドロポリシラザンにアルミナ粉末を添加してシリカ膜形成を行うことにより、絶縁性並び耐久性が向上する傾向が確認された。ピンポイント酵素固定技術では、従来の固定法では、酵素を電解析出させた後、フェニレンジアミン等の電解重合により得られた重合膜により酵素の遊離を抑制していたが、電解液の交換が必要であったことから、酵素の電解析出時において、メタクリレート類を添加して酵素表面に混在させた後、光重合による遊離抑制重合膜の形成を試みた。メタクリレート類として、ヘキシルメタクリレートを用いた結果、酵素の遊離抑制に有効であることが確認された。また、光重合を用いる方法は、プラスチックフイルムタイプセンサ作製への応用が容易と思われる。銀/塩化銀薄膜電極形成では、銀/塩化銀電極の表面を高吸水性高分子で被覆して管内に挿入することにより、わずかな水分でも機能した。 プラスチックフイルムタイプセンサの作製技術の検討においては、PETフィルムを熱プレス加工することにより行った。洞穴先端の穴加工は、熱プレス加工後に微細ドリルで行うことにより、微細テーパー先端形状形成が可能であった。 また、25年度から課題2の遂行に必要な動物実験評価をスムーズに移行できる環境を整えるため、自動血液サンプリング装置を用いたセンサ評価のシステム化を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度は、白金管を用いたセンサの作製技術を確立することが主な目的であったが、絶縁性薄膜形成では、エレコート(シミズ製)の電着塗装膜による絶縁膜として形成では、ピンホールが存在していたのに加え、皮膚との接触に対する強度が不足しているように思われた。ペルヒドロキシポリシラザン単独で絶縁膜形成するには、膜を三重に被覆する必要があったが、ペルヒドロキシポリシラザンにアルミナ粉末を混在させることにより、絶縁性は向上し、アルミナ粉末を有するシリカ膜の外にポリイミド膜を形成することにより、安定した強度を有する絶縁膜が得られた。 ピンポイント酵素固定技術では、電解析出法と光重合法を組み合わせた簡便な新規酵素固定法を開発し、その有用性を示すことができた。これらの結果については、平成25年3月29日~31日に東北大学て開催された電気化学会第80回大会において「電解析出法を用いた酵素固定電極の作製及ひその評価」のタイトルて発表した。 本研究の最終目標であるプラスチックフイルムタイプセンサについても検討が行われ、PETフィルムの熱プレス加工および微細ドリル穴形成により、設計に近い形状形成が可能であった。 一方、24年度においては実験動物を用いた研究は行えなかったことから、洞穴先端を有する微細センサ形状の最適化についての評価は行えなかったが、自動血液サンプリング装置を用いたセンサの評価システムを作成した。このことにより、25年度から本格的に行う動物実験評価にスムーズに移行できる環境を整えた。 以上のことから現在まで、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度に確立した洞穴先端を有する微細電極作製技術を基に種々の形状(先端部の外径、内径、挿入長さ、テーパ角等)を有するグルコースセンサを作製し、実験動物を用いた評価を行う。センサは皮下組織または真皮に留置し、グルコース測定を行うことから血糖値とのズレが生じるが、糖尿病患者の血糖値管理・治療に有用な相関が得られるか、動物実験用自動血液サンプリング装置および従来型のセンシング部位を側面に有する微細針状グルコースセンサの両方を用いて測定を行う。 を用いて、評価を行う。また同事業においては、これまでの金属製センサ針とプラスチック部材の組み合わせによるパッチ型センサ作製からセンサ針もプラスチック部材で形成し、電極材料の薄膜被覆技術等によるセンサ作製も試みる。このことはセンサのコスト単価を大幅に減らすことに繋がる。 プラスチックフイルムタイプセンサにおいては、酵素等の固定も行い、グルコース測定が可能なセンサを試作し、フローセル型皮膚モデル実験装置を用いた評価を行う。 なお、これまでに得られた成果は、25年9月に開催される2013年電気化学秋季大会および第224回ECS大会にて発表を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度の研究費は、センサ作製のための材料費、及び動物実験を行うための費用が主である。センサ作製のための材料としては、白金管、酵素、絶縁膜材料、先端加工費等である。また、動物実験を行うための費用としては、実験動物の購入費用、動物実験施設使用料・管理費用である。この他、学会発表(2013年電気化学秋季大会)および情報収集(第56回日本糖尿病学会年次学術集会)のための旅費である。 なお、繰越額 15,681円は、既に執行を終え、4月に支払いが完了している。
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Research Products
(4 results)