2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500511
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
弘田 隆省 高知大学, 医学部附属病院, 助教 (10437741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 文靖 高知大学, 医歯学系, 講師 (10243841)
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Keywords | 先端機能デバイス / 医療・福祉 / 医療工学 / 起立性低血圧 / 低侵襲治療システム |
Research Abstract |
従来用いられているパーキンソン病治療における深部脳刺激法を交感神経遠心路の一部としてシステムに組み入れた人工圧受容器反射射装置を着想した。そこで、三年間の実験的臨床研究により、深部脳刺激による血圧応答性を同定し、血圧低下を代償する血圧サーボシステムがもっとも安定的かつ迅速に作動する制御中枢プログラムを設計する。H25年度は「脳埋め込み電極刺激時の血圧へのデータを記録」を継続し、ランダム刺激による血圧への応答性を評価し、結果を日本循環器学会総会にて発表した。 【方法】1) 深部脳刺激治療を行っているパーキンソン病患者で、刺激電圧、部位を変化させ、血圧測定を行った。刺激は、視床下核(STN)で行い、電極刺激部位が単極で0がプラス、ジェネレーターケースがマイナスのものを検討した。血圧は通常の上腕カフ型血圧計および非侵襲的連続血圧測定装置を用いた。上腕血圧は刺激時に収縮期血圧が3mmHg以上上昇するものを有意とした。2) ランダム刺激はPCからのコマンドに従い手動でコントローラーをon/offし、解析は心電図波形の雑音の有無で行った。 【結果】1) 25例の患者(年齢68±8歳、男性14, 女性11)で検討した。上腕血圧測定は37回行い、そのうち、上昇10回(27%)、変化なし21回(57%)、刺激による症状で検討できなかったものが6回(16%)であった。以上より、視床下核(STN)への刺激が血圧に影響を与える可能性が示された。2) 14例(年齢64±12歳、男性7, 女性7、電極挿入手術後145±154週)を対象に、視床下核(STN)へのランダム刺激25回を行った。25回中、6回は刺激症状で中止した。得られたデータ19回中13回で血圧への反応を認めた。反応の認められた症例のステップ応答関数では、刺激により迅速な血圧応答が認められ、10秒以内に定常ゲインの90%以上に達した。定常ゲインは0.015±0.013mmHg/Hzであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
十分な症例数でのデータが蓄積され、ランダム刺激による血圧応答関数の算出も継続できており、おおむね良好に進行している。 ただ、実際の立位時に血圧低下が制御できるかは不明であり、H26年度に、実際に起立または座位負荷を行いながら、刺激を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
H26年度は、刺激から血圧までの伝達関数の記述・同定を行うため、記録したランダムな刺激から血圧までの応答関数の平均値H2(f)を算出しシステムを完成する。制御中枢に用いるサーボコントローラの動作原理としては,いわゆる,比例・積分補償型のネガティブフィードバックを採用するランダムな刺激に対する動脈圧の応答特性(上記で求めたH2(f)を二次の低域通過フィルターへの曲線近似法を用いて解析する。求められた平均的なH2(f)を用いて,ステップ状の血圧低下に対する血圧サーボシステムの振る舞いを比例補償係数Kp=0, 1, 2,積分補償係数Ki=0, 0.01, 0.05, 0.1, 0.2の組み合わせでシミュレーションし,血圧サーボシステムがもっとも安定的かつ迅速に血圧低下を代償する係数を決定する。このシミュレーション結果をもとに、人工的血圧制御中枢をプログラムし、サーボシステムとして動作するようにする。 さらに、立位負荷時の血圧低下度を一定頻度の刺激で評価する。 連携協力者として山崎文靖(検査部非常勤講師)、佐藤隆幸医師(循環制御学)が装置の動作原理の開発に協力し、研究協力者として森田ゆかり医師(神経内科)、清家真人医師(いずみの病院、脳神経外科)、豊永晋一医師(土佐市民病院、脳神経外科)がパーキンソン病患者フォローに協力する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
起立負荷検査が開始されておらず、液性因子解析費用がかからなかったため。 消耗品費として、データ保存用メディア、接続コネクタ類、液性因子解析費用を計上する。人件費・謝金として、前年と同様、研究補助員を1名確保するための経費を計上する。また、成果発表旅費、印刷費、論文投稿料を計上する。
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Research Products
(1 results)