2013 Fiscal Year Research-status Report
脂肪組織温度画像化の定量性改善のための脂肪酸磁気共鳴信号の温度依存性の探求
Project/Area Number |
24500516
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
黒田 輝 東海大学, 情報理工学部, 教授 (70205243)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 裕 東海大学, 医学部, 教授 (70138113)
|
Keywords | 磁気共鳴 / 脂肪 / 温度 / 画像化 / 依存性 / プロトン / 集束超音波 / 緩和時間 |
Research Abstract |
本課題ではこれまでに確立した多点Dixon法と多フリップアングル法を併用した、脂肪-水融合温度分布画像化法の精度を改善するため、脂脂肪酸磁気共鳴信号の温度依存性の探求を行なっている。H24年度に報告した脂肪酸分子内の異なる位置にある水素原子核(プロトン)に由来する磁気共鳴分光スペクトル強度の相対比が温度に依らず一定に保たれるということに加えて、各成分のスピン格子緩和時間T1の比が温度に対して単調に増加する関係を実験的に見い出した。これらを先験情報とすることにより、SN比に優れたメチレン基の信号強度とT1を求めれば他のプロトン成分の信号強度及びT1が求められることが明らかになった。 さらにこの先験情報を利用する条件の下、鎖状メチレン基、終端メチル基、ならびに水などの多成分モデルと多点Dixon法によって効率的に分離する方法を考案した。この新しい方法では既に2成分モデルに対して知られている(-1/6+k)π、(1/2+k)π、(7/6+k)π (ただしkは整数) というエコー時間の設定が、3成分モデルにおいても保持されるようにした。すなわち周波数差の大きな成分間(鎖状メチレン基―水間)の位相差が、周波数差の小さな成分間(鎖状メチレン基-終端メチル基)の位相差に対して、2πの整数倍余分にうなるようにエコー時間を設定することにより、各成分の磁化ベクトルが複素平面上に均等に分布する条件を形成した。上述の先験情報とこの新しい方法の組み合わせにより、比較的簡単なモデルにより、各成分の強度とT1の測定誤差を低減できることが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H25年度は本学において、11T-NMR装置の移設・更新、ならびに9.4T-NMR/MRI装置の新規導入があったため、実験装置の占有時間が長い、動物脂肪由来の脂肪酸に関する温度依存性の検討を後回しにして、3Tの臨床機の利用を前提とした、上述のような手法の確立に務めた。このため実験・研究項目の順序がやや変わっているが、全体の進捗状況としてはほぼ予定通りに進んでいる。このため上述のような評価とした。 ただしH25年度の研究成果の原著論文化はまだできていないので、H26年度中早期の投稿を目指すこととする。
|
Strategy for Future Research Activity |
前項に述べた装置の整備が完了し、現在は9.4T_NMR/MRIもフル稼働の状態となった。このため、動物脂肪由来の脂肪酸に関する温度依存性の解明のための実験を開始すると共に、これまで検討した温度分布画像化手法の最適化と組み合わせて、乳房ならびに骨髄の脂肪組織に対する温度分布画像化法の確立を目指す。前項に述べた装置の整備が完了し,現在は9.4T_NMR/MRIもフル稼働の状態となった。このため,動物脂肪由来の脂肪酸に関する温度依存性の解明のための実験を開始すると共に、これまで検討した温度分布画像化手法の最適化と組み合わせて、乳房ならびに骨髄の脂肪組織に対する温度分布画像化法の確立を目指す。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験データの量が当初予定よりも少なく、研究補助人件費が低く抑えられたため。 先述のように、H26年度は9.4T NMR/MRIが稼働したため、データ量が増大し、上述の研究補助人件費が増加することが見込まれる。このため全体としてはこの「次年度使用額」を含めて当初予定額を計画通り使用する予定である。
|
Research Products
(4 results)