2014 Fiscal Year Annual Research Report
人工血液カクテルによる胎児慢性低酸素症の治療法開発
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24500525
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
李 コウ 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所疾病研究第二部, 科研費研究員 (70621994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲垣 真澄 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所知的障害研究部, 部長 (70203198)
酒井 宏水 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (70318830)
太田 英伸 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所知的障害研究部, 室長 (80422103)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 人工赤血球 / 胎児低酸素症 / 胎児脳 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「人工酸素運搬体」というナノマイクロ人工臓器を利用したアプローチにより、妊娠高血圧症に伴う胎児慢性低酸素症を改善し、胎児脳を保護する新しい治療法を開発することである。 本研究の第一のステップは、①妊娠ラットにNO(一酸化窒素)阻害剤を投与し胎盤血管を狭小化することにより、妊娠母体の持続高血圧動物モデルを作成することであった。第二ステップは、②狭小化した胎盤血管においても十分な酸素供給を確保するため、通常の赤血球よりサイズの小さい「人工酸素運搬体」を用いて、単位血管当りの血液流量を増加させ、妊娠末期のラット胎児慢性低酸素症を改善することを目指した。また合わせて、③「人工酸素運搬体」の胎児組織に対する安全性を確認することとした。 平成24年度と平成25年度に①妊娠母体の持続高血圧動物モデルを作成でき、NO阻害剤により妊娠ラットにおける高血圧が持続することを非観血的血圧測定装置にて確認した。②狭小化血管の評価については、有機溶媒メルコックスにて胎盤血管の型取りを行い、3次元計測システムにて血管径の測定を試験的に行った。最終年度は、③「人工酸素運搬体」を母体ラットに投与し、胎盤と胎児の脳組織の低酸素状態が改善することをHIF-1α免疫染色により確認した。また胎児の全身低酸素状態が「人工酸素運搬体」により解除されることがbioluminescence法で確認できた。さらに④低酸素誘導された胎児脳損傷が「人工酸素運搬体」投与により改善されることを免疫組織学的(GFAPおよびNeuN染色)に見出した。 「人工酸素運搬体」の母体・胎盤・胎児組織に対する安全性についての研究成果はLife Sciences誌に発表された。妊娠高血圧症モデルラットの胎盤・胎児の低酸素状態が「人工酸素運搬体」により改善されること、胎児脳が保護されることについての成果をまとめて論文を作成し、現在投稿中である。
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