2012 Fiscal Year Research-status Report
生体成分肺サーファクタント粘膜アジュバントの新規応用:ガンワクチンへの適用
Project/Area Number |
24500527
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
水野 大 徳島大学, 疾患酵素学研究センター, 助教 (70380061)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 生体機能材料 / 肺サーファクタント |
Research Abstract |
SSFを用いた経鼻ワクチン接種による免疫応答の性質を、誘導された抗体サブクラスを定量することで検討した。SSFをインフルエンザ抗原 (HA) と混合した経鼻ワクチン接種マウスにおいて、ヘルパー1T細胞を誘導する典型的なアジュバントであるpoly(I:C)と同様に、血中IgG2a抗体が誘導されることが明らかとなった。これにより、当初予定していた構成成分の改良を行わずともSSFにより細胞性免疫の誘導を行いうることが期待されたため、直ちにSSFによる免疫活性化機構の探索を開始した。 まず、SSFにより促進される細胞への抗原取り込みルートの探索を行った。蛍光標識したHAのSSFによる免疫担当細胞への取り込みに対する、各種エンドサイトーシス阻害薬の影響を検討したところ、マクロピノサイトーシスを特異的に阻害するアミロライド誘導体の添加によりHAのSSFによる免疫担当細胞への取り込み量は顕著に減少することが明らかとなった。他の阻害薬は取り込み効率にほとんど影響せず、SSFにより促進された抗原の取り込みルートはマクロピノサイトーシスが主であるとかんがえられた。 さらにクロスプレゼンテーションの試験に多用されるオボアルブミン (OVA) がHA同様のメカニズムで免疫を誘導するか否かを検討した。HAに対すると同様SSFはOVAの免疫担当細胞内への取り込みを促進し、細胞を活性化させた。このOVA取り込み増進もHA同様にアミロライド誘導体により抑制され、SSFはOVAのマクロピノサイトーシスによる取り込みも増進させ、免疫を活性化することが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
SSFを用いた経鼻ワクチン接種が、当初の想定よりもすぐれたヘルパー1T細胞誘導性を示唆したため、SSFの改良を行う必要がなくなり、平成25年度以降に予定していた誘導メカニズムの解析に平成24年度中に取り掛かることができた。SSFにより促進される取り込みルートの同定は誘導メカニズム解析に対する大きな知見であり、また、OVAをHA同様に抗原として用いうることが明らかとなったことで、OVAを特に細胞性免疫誘導の解析に対する強力なツールとして用いうる。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は主に、OVAをツールとして用い、特に細胞性免疫誘導メカニズムの解析を重点的に行う。SSFを用いたOVA経鼻接種マウスにおいてCD8陽性T細胞の活性化・増殖が認められるか否かを解析する。また、OVA経鼻接種マウスにおける抗体サブクラスの誘導を検討し、HAとの相違を検討する。さらに初代培養を用いたin vitroの実験系により、SSFよるOVAの細胞内抗原取り込みと細胞活性化との関連性を探索する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし。
|