2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500530
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
保住 建太郎 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (10453804)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | バイオマテリアル / 細胞外マトリックス / ペプチド / レセプター / 基底膜 / インテグリン / 国際研究者交流 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
マトリゲルはラミニンやコラーゲンなどから構成される可溶化細胞外マトリックスで、近年様々な細胞工学的実験に汎用されているが、マウス腫瘍由来のため医療分野への応用は不可能である。申請者はこれまで合成ペプチドと組換えタンパク質を用い、マトリゲルの中心的成分であるラミニンの機能解析や機能部位の同定、さらにはタンパク質の機能を模倣した合成ペプチド-高分子多糖複合体を開発してきた。本研究は、これまでの研究を更に推し進め、約60種類のラミニン由来活性ペプチドと物性の異なる高分子多糖を用いてファインチューニングし、実際の医療現場で応用可能な合成マトリゲルの創製を目的にしている。H24年度はラミニンα2鎖に注目し、ラミニンα2鎖のN末端に存在するインテグリンα2β1結合配列の決定を行った(Hozumi K, et al., J. Biol. Chem., 287, 2012, 25111-25122)。本報告では、これまでに結合することがわかっていたが、結合配列の決定されていなかったラミニンα2鎖N末端のインテグリンα2β1結合配列を変異導入組み換えタンパク質と合成ペプチド配列を組み合わせた方法で検証した。その結果、N末端球状ドメイン中の3つのアミノ酸がラミニンα2鎖N末端とインテグリンα2β1結合の結合に重要であることを報告した。また、共同著者として、ラミニンペプチドのがんとの相関作用、ラミニンペプチドゲルの開発、神経突起伸長活性を持つラミニンペプチドの同定を報告した。これらの研究成果は、人工マトリゲルの創製にむけ、そのツールとして利用可能なペプチドであり、次年度以降の研究に随時用いていく。また、マトリゲルの主要成分であるLaminin-111を構成するラミニンα1鎖、β1鎖、γ1鎖に注目した検討は現在進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ラミニン-111の機能を模倣した材料を開発することで人工マトリゲルの作製を目指した。ラミニンはその分子内に多数の活性部位を持つために、ラミニン由来の5種類の異なる活性を持つペプチドをキトサンマトリックスに結合させることで、ラミニンの機能を模倣することを試みた。その結果、5種類を混合することでペプチドキトサンマトリックスの生物活性が約2倍にまで上昇することが判った。次いで、ペプチドの混合比の最適化を目指して、様々な混合比で検証したところ、インテグリンαvβ3結合ペプチドの比率が混合ペプチドキトサンマトリックスの生物活性に大きく関与していることが判った。また、高分子多糖マトリックスのバリエーションを増やすためにアルギン酸、ヒアルロン酸を用いて混合ペプチドマトリックスを作製したところ、キトサンマトリックスと同様に生物活性の上昇が見られた。しかし、その生物活性の傾向が、高分子多糖マトリックス依存性である可能性が示唆されたため、今後の研究でさらなる検証を進めていく。以上の結果を鑑みると、いずれの成果も研究目的に対して、おおむね順調に伸展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の目的を達成するために、次年度は以下の2つをまず最初のターゲットとして研究を推進していく。1,細胞特異的なペプチド混合比の最適化;当該年度の検証から、細胞特異的および生物活性特異的に最適なペプチド混合比が異なることが判ってきた。今年度は、線維芽細胞、表皮細胞、神経細胞、筋芽細胞にフォーカスを当てて、それぞれの細胞にあったペプチド混合比を検証する。2,受容体特異的な高分子マトリックスの最適化;当該年度の検証から、アルギン酸マトリックスおよびヒアルロン酸マトリックスがインテグリン結合活性を促進させ、逆にキトサンマトリックスはシンデカン結合活性を促進されることが判ってきた。本年度は60種類あるラミニン-111由来活性ペプチドの中でも受容体が同定されているペプチド、強い生物活性を示すペプチドに注目してマトリックス依存性生物活性パラメータを決定する。 また、次年度中に幹細胞の培養を開始し、ペプチド高分子マトリックスの幹細胞に及ぼす影響を検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、計画通りにペプチド混合比の最適化とマトリックスパラメータの作製に加えて、幹細胞の培養を開始していく。幹細胞、フィーダー細胞、培地などは未だ一通り揃ってはおらず、これを本年度の繰り越し分で購入する。その他に関しては、計画通りに購入、使用していく予定である。
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Research Products
(15 results)