2012 Fiscal Year Research-status Report
リン酸エステル系高分子による骨リモデリングの正常化
Project/Area Number |
24500532
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
岩崎 泰彦 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (90280990)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ポリリン酸エステル / タンパク質 / バイオコンジュゲーション / 骨疾患 / DDS / プロドラッグ |
Research Abstract |
超高齢化社会を迎えた本国では骨疾患をもつ患者数の増加が大きな問題となっている。骨疾患の治療薬のなかで、タンパク質治療薬は活性の高さと毒性の低さから注目されているが血中内での安定性が低く効率的な治療を行うには問題がある。そこで、タンパク質治療薬の血中安定性を向上させ、さらに骨指向性を高めるため骨組織との親和性の高いポリマーとの複合化を目指した。本研究では遊離のリン酸エステル結合を主鎖にもつポリリン酸エステルアイオノマーを合成し、タンパク質との複合化を試みた。 2-メトキシ-2-オキソ-1,3,2-ジオキサホスホラン(MP)を、メタノールを開始剤として塩基性有機触媒を用いることで開環重合を行った。PMPにトリメチルアミンを作用させたのち、陽イオン交換樹脂を用いて脱メチル化した。続いてこのポリマーを水に溶かし水酸化ナトリウム水溶液により中和することでポリ(2-ヒドロキシ-2-オキソ-1,3,2-ジオキサホスホラン)ナトリウム塩(PHP-Na)を得た(Figure 1)。続いてPHP-NaとEDC、イミダゾール、モデルタンパク質であるウシ血清由来アルブミン(BSA)をPHP-Na: BSA=1:1,5:1,20:1となるように混合し、24時間反応させた。複合化の速度解析をサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により行い、タンパク質とポリマーとの複合体形成をSDS-PAGEで確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
24年度では、骨の主成分であるHApに対し強い親和性を示し,かつ,骨関連細胞の機能を制御するのに有効な生理活性物質を複合化できるようなポリリン酸エステルの合成法を確立することを計画していたが、同年度の比較的早い時期にこの目的を達成した。そこで、25年度に予定していたタンパク質との複合化を当初の計画より前倒しして実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
骨芽細胞および破骨細胞を用い,ポリリン酸エステルおよびその分解生成物がこれらの細胞の機能に与える影響について生物学的な見地から詳細に解析する。また,破骨細胞を脆弱化させ, 骨芽細胞の働きを亢進させる種々の化合物やタンパク質をポリマーに複合化することを検討し,これら複合体の生理活性についても, 上記細胞を用いて明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費の支出額が当該年度の予定支出額より少なかったため、繰越金が生じた。 25年度では24年度に合成したポリマーの生物学的機能を解析することを予定しており、バイオアッセイに関する物品費を繰越金をもって拡充する。
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Research Products
(9 results)