2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500542
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
横田 康成 岐阜大学, 工学部, 教授 (00262957)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野方 文雄 岐阜大学, 工学部, 名誉教授 (70047629)
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Keywords | 超音波エコー画像 / Bモード画像 / 頚動脈断面 / 心拍動 / 動脈硬化 / 3次元形状可視化 / 心拍動の変動 / 4次元可視化 |
Research Abstract |
動脈硬化診断のための頚動脈の超音波エコー検査では,超音波Bモードを使う場合,同時に一つの断面像しか得られないため,医師らがプローブを移動させて様々な断面像を観察して,その全体像を推測するしかなかった.そのため,プローブの操作,超音波画像の読影などに熟練していないと正しく全体像を推測することができない問題があった. 本研究の最終目的は,頚動脈の観察,動脈硬化の診断がより容易かつ確実に行えるようにするため,超音波エコー装置により頚動脈の様々な断面像を撮影し,それらから計算機により頚動脈の3次元形状,あるいは時間軸を加えて頚動脈3次元形状の心拍動,つまり4次元形状を再構成,描画する手法を確立することである. 昨年度では,様々な断面で3,4心拍以上の断面動画像を記録し,拡張期から収縮期までの様々なフェーズでの頚動脈3次元形状を再構成することに成功した.しかし,もともとは異なる時刻での断面像からあるひとつのフェーズでの3次元形状を再構築するため,毎回の心拍動が等しくないと安定した再構築ができない.実際,健康な被験者で滑らかな筒状であるはずの頚動脈が,デコボコした形状に推定される現象が発生した. そこで,本年度では,頚動脈の心拍動の安定性,つまり毎回の心拍動の再現性を評価した.1分間,約60心拍分,一つの断面の心拍動による動きを記録し,どの程度同じ動きが繰り返されるかを調べた.その結果,予想以上に安定性に欠けることが明らかになった. これまで,頚動脈の心拍動の大きさを利用した動脈硬化指標としてスティッフネスβパラメータなどが利用されている.本研究の結果は,高々,数拍程度の心拍動からβパラメータを推定したとしても,信頼できる推定精度が得られていない可能性が高いことを示唆する重要な結果である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
頚動脈3次元形状に時間軸を加えた4次元形状を再構築することに成功した.その上で,頚動脈の心拍動による形状変化の予想以上の変動性を見出した.これまで,頚動脈の心拍動の大きさを利用した動脈硬化指標としてスティッフネスβパラメータなどが利用されているが,本研究の結果は,高々,数拍程度の心拍動からβパラメータを推定したとしても,信頼できる推定精度が得られていない可能性が高いことを示唆している非常に重要な結果である. これまで,推定されたβパラメータと他の動脈硬化指標(PWV, ABIなど)に有意な相関があることは示されていたが,決して一対一対応といえるほどではなかった.その原因が,指標の原理の本質的違いのためなのか,他の動脈硬化指標の推定精度の問題か,βパラメータの推定精度の問題なのか,あまり真剣に議論されてこなかった.こうした風潮に対し,本研究結果は,動脈硬化指標の推定のばらつきを考慮しなければならないという問題提起を行うことになる.ネガティブな成果では有るが,推定精度改善への意識を高めるために重要な意味を持つと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
異なる複数の心拍動から,頚動脈の4次元形状を高精度に再構成することは,心拍動の変動性より困難である.そこで,もう一つの手法として初年度に検討してきた,プローブを頚動脈の走る方向になぞるように数回,スキャンすることにより頚動脈の3次元形状を再構成する手法に切り替える.この場合,頚動脈が走る方向の連続的な情報を利用できるため,滑らかな血管形状の再構成が可能となるが,いかに心拍動の影響を抑えるかが課題となる.本年度は,この問題を扱うと同時に,心拍動の変動性に関する成果の取りまとめ,ファントムを用いた精度評価を行い,研究を完成させる.
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