2012 Fiscal Year Research-status Report
低侵襲手術デバイス装着型位置・力センサと手術データ解析システムの開発
Project/Area Number |
24500544
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
加藤 大香士 名古屋市立大学, 芸術工学研究科(研究院), 准教授 (90362285)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 医療・福祉 / 解析・評価 / 術技の記録 / 知能機械 |
Research Abstract |
内視鏡下手術は,細い棒状の手術デバイスを体表の小さな切開創から挿入し,モニターに映し出された内視鏡画像を見ながら行われる.成功裏に終了できれば早期の社会復帰が可能であり,患者に対するメリットは大きい反面,特に年々増加する高齢患者に対し,血管や臓器の弱り,臓器の体内組織との癒着などに起因した合併症リスクの懸念が大きくなってきている.内視鏡像のみに依存し,デバイスの操作自由度が大幅に制限された手術環境下では,手術ミスや出血の見落としなど,執刀医の経験・実力不足からくる手術事故だけでなく,術者とサポートスタッフとのコミュニケーション不足が手術事故を誘発するケースも考えられる.従って,術者の手術デバイス操作の位置・力情報に加え,内視鏡像や手術室内の音声など,複数種の情報を一元的にデジタル記録する「サージェリレコーダ」の開発を推進してきた.本年度は,収集データを効率的に解析・提示するための,一元的データ収集・解析・データ可視化プラットフォームの開発に取り組んだ.回を追うごとに蓄積され肥大化するデータから効率的に特徴データを抽出し,わかりやすく提示できるデータ解析・可視化システムは,いわゆるビッグデータを扱う上で必須である.そこで,内視鏡下手術デバイスの3次元位置/力の同時計測を念頭に置き,磁気式位置センサとロードセルを組込んだセンサユニットを試作し,LabViewビジュアルプログラミング環境を利用したユビキタスなデータ収集・解析・提示システムを開発した.具体的には,整骨鍼灸院を研究協力機関として,手術用途ではないが,手指の動作をリアルタイムで簡便に収集できるシステムを構築した.本システムを用いた収集データを収集中の段階であり,まだ成果発表には至ってはいないものの,次年度には本研究実績の学会発表を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
8月末日に名古屋大学を退職し,名古屋市立大学へ移籍したため,本年度の後半に研究を十分に進展させることが困難であった.研究実施計画に記した,データ収集用ハードウェア構成の最適化とコンパクト化については,おおむね順調に進んだ. 手術デバイス装着用の位置・力センサユニットの開発を引き続き行っているところである.移籍後において使用することができる装置類は問題なく備わっているため,試作開発を問題なく行える環境にあることを付記しておく.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,手術デバイス装着用センサユニット開発の継続について,以下を行う.1) 臨床使用を前提としたセンサユニット開発.信号線対応,滅菌対策などの課題解決,2)NC切削機や光造形装置を駆使した高速試作サイクルとデザインフィードバック手法の開発、3)樹脂と金属部品などとのハイブリッド構造に関する試作開発. 次に,手術データの定量解析と視覚提示手法の開発を行う.1)術者の鉗子操作の位置・力情報を定量解析する手法の開発,2)ビジュアルプログラミング手法の活用による視認性と操作性に優れるユーザインタフェースの開発. そして,最終年度の方針として,3)サージェリレコーダの実証試験とクリニカルチェックと,4)サージェリレコーダの心理的・社会的影響の調査とシステムへのフィードバックを,医療機関と熟練外科医の協力を仰ぎ,順次,遂行していく予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は,100万円の直接経費を使用する予定である.物品費には,開発環境としてビジュアルプログラミングソフトウェアであるナショナルインスツルメンツ社製,LabView(約25万円)を計上する.消耗品として,各種センサ,電子部品,機械部品などを購入する.また,情報収集旅費として20-30万円の支出を予定している.その他,研究成果発表,ならびに情報収集の目的で,各種学会へも適宜参加する予定である.
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