2012 Fiscal Year Research-status Report
消化管内phased arrayコイルによる高分解能MR撮像とプロトンMRS
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24500547
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松岡 雄一郎 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 医学研究員 (80372150)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 医用システム / 低侵襲診断・治療システム / 内視鏡 / MRI / 消化管 |
Research Abstract |
胃腔内設置のRFコイルの形状や場所は内視鏡で視認可能であるが、MR撮像には胃腔内のRFコイルの位置や姿勢をMRI座標系で認識する必要である。従来は、MR指標となるガドリニウム(Gd)溶液を入れたカプセルをRFコイル上に数個設置し、体外RFコイルで胃全体をMR撮像し、MR画像上のGd信号から胃腔内RFコイルのおおよその場所を判断していた。この手法では、体外コイル撮像をして胃腔内RFコイルでMR撮像の設定を完了するまでに数分を要する。実用化には、迅速に胃腔内のRFコイルの位置を検出する必要がある。そこで、MRI装置の勾配磁場を利用して位置や姿勢を検出する勾配磁場センサを利用した下記の方法を提案し、摘出ブタ胃組織で実験を行った。実験では、2巻サーフェス型のフレキシブル構造のRFコイルを使用した。 勾配磁場センサをMR対応内視鏡先端に取り付け、胃腔内設置のRFコイル形状を内視鏡で視認すると同時に、内視鏡先端をRFコイル面の異なる3か所に近づけ各座標を検出した。3点座標からRFコイルの重心座標を計算し、その点をMR撮像の中心座標に設定して撮像範囲も設定可能とした。この手法では、RFコイル面上の3点座標検出からMR撮像範囲設定までを1分以内で実現でき、数分を要した従来手法から大幅な時間短縮が出来た。これは患者負担軽減に寄与する重要な要素と考える。 さらに、体内の内視鏡とRFコイルの位置・姿勢、および得られたMR画像の相対的位置関係を視覚的に表示するため、ナビゲーションソフトウェアに市販のワイヤレスコントローラーを組込み、MRIシールド室内からでナビゲーションで表示されるそれぞれの相対位置・姿勢を任意に操作するための手法も考案した。当コントローラーとナビゲーションとはbluetooth通信だが、MR像へ影響がないことをファントム実験におけるSNRとアーチファクト評価で確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
phased arrayコイルの構築よりも先に、体内でのRFコイル位置の検出、撮像位置や範囲の決定方法に関する技術開発を進めたため、自己評価としては当初の研究計画に対してやや遅れていると判断する。 しかしながら、今年度に行った内容は平成26年度の計画に関連した内容であるため、全体的な計画内容の一部を達成しているため、大きな遅れはないと考える。なお、平成24年度に行った研究は、MR内視鏡システムの臨床的に有用な効果をもたらすと考えられ、実用化を考慮した場合に必要な技術・手法を開発できたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
胃をMR撮像としたフレキシブル構造のphased arrayコイルの試作を行う。2チャンネルのphased arrayコイルを、単一平面コイル、および8字コイルの組み合わせとし、コイル間誘導結合を最小にするコイル配置を数値解析および試作コイルの周波数応答特性から調べる。このphased arrayコイルは1.5T-MRI装置で使用可能とするため、共振周波数を約64MHz、インピーダンスを50Ωに同調・整合する必要があるが、体内挿入で同調・整合特性が変化するため、変化を見込んで最適値からずれた値に調整する。試作コイルの評価を、人体組織模擬ファントムおよび摘出ブタ胃組織を撮像対象として、コイルの周波数特性およびMRI撮像によるSNR、コイル面からの感度域などで評価し、さらにデカップリング評価にも関係するアーチファクトの有無も調べる。また、各コイル毎にバラン回路を作成し、組込みも検討する。 一方、RFコイルを消化管内設置した後に体外から共振特性を遠隔調整する同調・整合回路の試作も行う。RFコイル形状の変形、RFコイル面と組織との距離などによってもRFコイルの共振特性は変化するが、RFコイル形状の変形に関しては極力抑える構造にして摘出ブタ胃組織で遠隔同調・整合による特性調整と、それにより得られるMR像のSNRなどを評価する。遠隔同調・整合回路による調整範囲の目標を、共振周波数は約10MHz、インピーダンスは約20Ωに設定して開発を行う。人体組織模擬ファントムおよび摘出ブタ胃組織での実験を行い、phased arrayコイル、遠隔同調・整合回路などの修正を行った後に、生体ブタによる動物実験を試みる。動物実験では、迅速に体内のRFコイルの位置・姿勢などを検出するために、平成24年度の研究で構築したMR内視鏡システムのナビゲーション機能を適用し、更なる改良も試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度はphased arrayコイルの試作よりも、消化管内のRFコイル位置・姿勢の検出からMR撮像設定までの時間短縮を目的としてナビゲーション機能の開発に重点を置いたために、phase arrayコイル試作で必要な電子回路部品やファントム材料などの購入費用の使用が少なかった。従って、平成25年度に繰越使用する研究費が生じたものである。 平成25年度にはphased arrayコイルおよび遠隔同調・整合回路の試作、加えてバラン回路の試作などを行うために回路部品の購入や、人体組織模擬ファントム材料の購入が必要となる。また、人体組織模擬ファントム、摘出動物組織などのモデル実験を行い改良を進めて、動物実験を行う予定であるため、実験用動物(ブタ)費用および、動物用MRI装置の使用料などを考慮すると、動物実験費用を平成25年度に請求する研究費と合わせて使用することは適当と考える。さらには、当該研究の成果発表や関連研究の情報収集等のために、国内、国外の学会へ参加する費用、および研究成果を学会誌などに発表する際の英文校閲や投稿料などに使用する予定である。
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[Presentation] Navigation for adequate MR scan with integrated MR-endoscope system using intraluminal RF coil2012
Author(s)
Yuichiro Matsuoka, Akihiro Takahashi, Etsuko Kumamoto, Yoshinori Morita, Mamoru Takenaka, Aya Sakai, Hiromu Kutsumi, Takeshi Azuma, Kagayaki Kuroda
Organizer
9th Interventional MRI Symposium
Place of Presentation
Joseph B. Martin Conference Center, Harvard Medical School, Boston, USA
Year and Date
20120922-20120923
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