2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500563
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Research Institution | Sendai National College of Technology |
Principal Investigator |
岩井 克全 仙台高等専門学校, 情報ネットワーク工学科, 准教授 (10361130)
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Keywords | 中空ファイバ / 赤外レーザ光 / 先端機能デバイス / レーザ治療 |
Research Abstract |
従来の導光効率を犠牲にしたEr:YAGレーザ用の短尺な充実型ガラスファイバに対して、高エネルギー伝送ならびに滅菌工程に耐える細径中空ファイバが実現できれば、内視鏡治療において、Er:YAGレーザ光を効率よく用いることができる。また導光効率の飛躍的な向上により、レーザ光源の低出力化に繋がり経済性のメリットも生じる。内径50 μmの極細径なファイバは、子供の細く曲がった歯根などにも対応できる。最小侵襲治療が叫ばれている医療現場において、レーザによる低侵襲治療は社会的な要求であり、それに関連する治療装置の開発は極めてニーズが大きい。 平成25年度は、光学薄膜内装細径中空ファイバの製作と評価を行った。 人体組織に強く吸収され、効率のよい蒸散・切開が可能なEr:YAGレーザ用の赤外ファイバとして、銀膜の上に更に光学膜として、無機薄膜がコートされた中空ファイバの製作を行った。銀中空ファイバに、ヨウ素 (I2)を含む溶液を流し、ヨウ化銀 (AgI)の誘電体膜を形成する手法を用いて、内径50μm光学膜内装銀中空ファイバの製作を行った。 ヨウ素 (粒)の溶剤にエタノールを用い、超音波 (40 kHz)照射と攪拌を10分程度行い、1 wt%のヨウ素液を作成した。シリンジポンプを用いて、内径50 μm、長さ10 cmの銀中空ファイバを8本束ねたバンドルにヨウ素溶液を流し、AgI膜を形成した。ヨウ素液の送液速度は、約2 cm/secである。送液後、窒素ガスを流しながら、室温で30分乾燥を行った。内径700 μm石英ガラスチューブに注入するヨウ素供給量を、1.5 cmにして送液を行うことで製作したAgI内装銀中空ファイバ(内径50 μm、長さ7 cm)は、明確な干渉ピークが現れており、銀中空ファイバ内面に、AgI層を形成できていることを確認できた。AgI膜厚は、約0.15 μmであり、充分低損失にEr:YAGレーザ光を伝送可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光学ポリマーとして、室温湿気硬化型特殊無機塗料を光学膜材料の一つとして選択し、送液法による無機薄膜の形成を行ったところ、中空ファイバの内径が細くなると、送液系の接続点におけるチューブ径の違いにより、送液速度が変化し、ファイバの上部・下部で膜厚変動が生じ、また溶液の粘度が高くなると、中空ファイバ内で溶液が詰まってしまうことが分った。そこで、無機光学膜材料として、ヨウ化銀膜を用いた。ヨウ化銀膜の成膜には送液法を用いる。石英ガラスチューブ内に銀膜を形成し、その後、ヨウ素を含む溶液を流し、ヨウ化銀 (AgI)の誘電体膜を形成する。シリンジポンプを用いて、内径50 μm、長さ10 cmの銀中空ファイバを8本束ねたバンドルにヨウ素溶液を流し、AgI膜を形成した。ヨウ素液の送液速度は、約2 cm/secである。送液後、窒素ガスを流しながら、室温で30分乾燥を行った。この手法を用いることで、AgI膜厚を溶液の送液量(反応時間)で制御し、Er:YAGレーザ光伝送に適した無機膜厚を成膜することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、細径中空ファイバの先端封止技術の開発と性能評価を行う。 内視鏡を用いた医療装置に中空ファイバを導入する場合、レーザ光により切除された飛散物がファイバ内部に侵入し、損傷を引き起こす。そこでファイバ先端の溶融による先端封止などの簡易・廉価な手法の開発を行う。Er:YAGレーザ装置に製作した無機薄膜内装極細径中空ファイバを組み込み、想定されるさまざまな形態に用いた時の伝送特性の評価を行う。 1.先端封止技術の開発 酸素バーナーや光融着接続機を用いたファイバ先端の溶融による封止などの簡易・廉価な製作法について検討を行う。 2.無機薄膜内装細径中空ファイバの評価 Er:YAGレーザならびに可視パイロット光の伝送特性、曲げ損失特性、耐久性試験(オートクレーブ滅菌処理、最小曲げ半径強度試験)、近赤外光、可視光を同時に伝送し、その効率は赤外光で60%、可視光で20%以上とする。
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Research Products
(6 results)