2014 Fiscal Year Research-status Report
くも膜下出血後の脳血管攣縮期におけるリハビリテーションの有用性の検討
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24500569
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
近藤 健男 東北大学, 大学病院, 講師 (30282130)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴鴨 よしみ 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60362472)
出江 紳一 東北大学, 医工学研究科, 教授 (80176239)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脳卒中 / クモ膜下出血 / 脳血管攣縮 / 急性期リハビリテーション / 廃用症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
S市のK病院では数年前より、クモ膜下出血急性期からのリハを施行している。ひとつめは理学療法士と看護師の連携によるドレナージクランプ下でのベッドサイド座位・立位・歩行訓練、ふたつめは言語聴覚士の嚥下評価による適切な食材の早期からの経口摂取訓練である。 対象は出血源である動脈瘤を開頭クリッピング手術もしくはコイル塞栓術で処置された患者で、その他の基準は通常の脳卒中に準拠して施行している。すなわち、・意識がJapan Coma Scale (JCS)で10より良好・バイタルサインが安定している・神経症状の増悪がない 、の3点を満たしていれば積極的な座位・立位・歩行訓練と嚥下評価および経口摂取訓練を可及的早期から施行することとしている。今回、上記リハプロトコールの安全性の検討を行った。 平成23年1月から12月までの12ヶ月間に入院からリハ開始までが7日以内であったクモ膜下出血患者は22例であった。内訳は女性15名、男性7名。平均年齢66.2±10.4歳(43-92歳)。入院からリハ開始まで平均5.3±1.1日。平均在院日数53.8±19.0(27-121日)。在宅復帰率59.1%(13/22)であった。 K病院ではクモ膜下出血患者は発症後3~4週間後に認知機能検査をルーチンで施行している。上記の患者で、最終的な転帰がMini-Mental State Examinationで22/30以下の認知機能低下を認めたものは5例、軽度の認知機能低下(高次脳機能障害)を認めたものは3例であった。軽度の認知機能低下を含めても36.4%(8/22)であった。また左片麻痺、失語症、右動眼神経麻痺を1例ずつ認めたが、これは発症時からのもので、リハにより出現、増悪したものではなかった。さらに、リハの期間中に再出血や感染症などの合併症は1例も認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
クモ膜下出血急性期リハビリテーションの安全性の結果が不十分であったため、計画を変更し、安全性の解析を継続することとした。このためクモ膜下出血急性期の心エコーによる心機能の解析と日本リハビリテーション医学会での発表を次年度に行うこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
一般的にクモ膜下出血後の高次脳機能障害の出現率は50%程度といわれている2) 。今回の調査では高次脳機能障害の出現率は36%であり、その他の合併症も認めなかった。以上から、クモ膜下出血急性期患者においても出血源である脳動脈瘤の処置が適切に行われていれば、他の脳卒中と同様のリスク管理のもと、ドレナージクランプを行い座位・立位・歩行訓練を安全に実施できると考えられる。 今後、クモ膜下出血急性期リハが脳血管攣縮などの合併症予防に有効であることを示し、クモ膜下出血の治療予後改善につなげたい。
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Causes of Carryover |
26年度に、クモ膜下出血急性期の心エコーによる心機能の解析を行いクモ膜下出血急性期リハビリテーションの有効性を明らかにし、日本リハビリテーション医学会で発表する予定であったが、クモ膜下出血急性期リハビリテーションの安全性の結果が不十分であったため、計画を変更し、安全性の解析を継続することとしたため未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
クモ膜下出血急性期の心エコーによる心機能の解析と日本リハビリテーション医学会での発表を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることにしたい。
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Research Products
(1 results)