2013 Fiscal Year Research-status Report
廃用性筋萎縮抑制効果の長軸部位別検証による臨床視点的プログラムの構築
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24500575
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山崎 俊明 金沢大学, 保健学系, 教授 (00220319)
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Keywords | 廃用性筋萎縮 / 萎縮抑制 / 骨格筋 |
Research Abstract |
骨格筋には解剖学的に起始と停止部があり、全体として作用する臨床視点から、本研究では機能的作用を鑑み、長軸部位(近位・中央部・遠位部)による萎縮抑制効果の相違を検証することが主目的である。平成25年度(2年目)は、当初計画どおりに、温熱刺激に焦点を当て研究を進めた。まず、臨床応用可能な温熱刺激方法を確立し、次段階として温熱単独介入による萎縮抑制効果を長軸部位別に検証した。 対象はWistar系雄ラットとし、以下3群:通常飼育する対照群、後肢懸垂によりヒラメ筋に廃用性筋萎縮を惹起させる後肢懸垂群、後肢懸垂に加え1日1回60分の温熱を負荷する後肢懸垂+温熱負荷群とした。温熱負荷方法として麻酔下で、両側下腿部に市販用カイロを使用した。予備実験として筋内温度変化を計測し、60分間以上筋表在温を約41℃に保つように温度調節した。右側ヒラメ筋は線維横断面積を計測した。左側ヒラメ筋は筋血流量分析に使用した。筋血流量は、ヒラメ筋摘出の30分前にThallium-201 (201 Tl) を腹腔内投与しヒラメ筋摘出後、Autowell Gamma Counter用の試料とした。試料凍結後、25%部位、50%部位、75%部位で切断し、50μm厚に薄切後、Autoradiographyの試料とし、201Tl取り込みの分布をBAS-5000IP reader を用いて画像化・分析した。 筋線維断面積は部位と群の交互作用を認めた。同部位間比較では、すべての部位で対照群>温熱負荷群>後肢懸垂群の順に高値を示し有意差を認めた。後肢懸垂群を基準とした温熱負荷群の部位ごとの変化率は、近位部123%、中央部122%、遠位部119%と近位ほど高値であった。 温熱負荷による血流量増加部位と萎縮抑制効果は一致せず、萎縮抑制効果の相違は筋血流量以外の要因関与が推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度(初年度)は研究実施計画に従い、廃用性筋萎縮に対するストレッチ介入による萎縮抑制効果を長軸部位別に検証した。臨床で筋のストレッチは関節可動域改善のために用いられることが多く、萎縮抑制効果への認識は高いとは言えない。そこで臨床に沿ったストレッチ方法を用いた基礎研究によりその効果を示すことが重要と考え、筆者らは、臨床で多用されており、比較的容易で再現性のある体重量をもとにストレッチ負荷量を規定できる伸張装置を開発した。具体的には、ラットの股関節、膝関節を90°に固定し足関節のみを背屈することにより、ヒラメ筋を選択的に伸張できた。後肢懸垂は筆者らの方法に準じ、後肢懸垂装具を使用し後肢を非荷重状態とし廃用性筋萎縮を惹起した。右側のヒラメ筋は組織学・組織化学的分析に用い、採取した筋の起始部より25%を近位部、50%を中央部、75%を遠位部として試料を作成した。HE染色を実施し、筋線維横断面積を計測・分析し、ストレッチ介入による萎縮抑制効果の長軸部位差を明らかにした。 平成25年度(2年目)は、当初計画どおりに、温熱刺激に焦点を当て研究を進めた。まず、臨床応用可能な温熱刺激方法を確立し、次段階として温熱単独介入による萎縮抑制効果を長軸部位別に検証した。温熱刺激方法として、市販の使い捨てカイロを使用することで、介入10分後には筋深部温約38℃、表在温約41℃に上昇し、60分間以上維持できる方法を確立した。カイロは臨床で多用されるホットパックなどで代用が可能であり、筋萎縮予防の有効な治療手段として活用できる可能性が示唆された。温熱介入による萎縮抑制効果の長軸部位間差を明らかにしたが、温熱負荷による血流量増加部位と萎縮抑制効果は一致せず、萎縮抑制効果の相違は筋血流量以外の要因関与が推察された。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度(3年目)は、前年度実施状況報告書の「今後の研究の推進方策」に記載したように、これまでに検証してきた「ストレッチ介入」と「温熱刺激」の萎縮抑制効果知見を基に、臨床的効率を考慮した両者の「併用効果」に焦点を当て研究を進める予定である。 Wistar系雄ラットを対象とし、対照群(CON)、一週間の後肢懸垂を行う群(HS)、後肢懸垂とともに温熱負荷を与える群(HSH)、後肢懸垂とともに筋伸張を行う群(HSS)、後肢懸垂とともに温熱負荷と筋伸張を同時に行う群(HSHS)を作成する。後肢懸垂は筆者らの方法に準じ、後肢懸垂装具を使用し後肢を非荷重状態とする。温熱負荷は、前年度確立した市販カイロ法にて60分間、下腿深部温約38℃で毎日一回実施する。筋ストレッチは、初年度作成した伸張装置を用い体重の1/3の負荷量で足関節を背屈方向へ持続的に60分間毎日一回実施する。 実験期間終了後,ヒラメ筋を摘出し、筋の起始部より25%(近位部)、50%(筋腹中央部)、75%(遠位部)部位の筋線維横断面積(CSA)を測定し、筋萎縮抑制効果の長軸部位差に関する結果から、効率的・効果的介入方法を考察予定である。 平成27年度(4年目)は、最終年度である。3年間の研究結果を踏まえ、介入時間・方法・負荷量・筋線維タイプによる反応の相違および継時的変化の観点から、萎縮抑制効果を長軸部位別に検証し、臨床的視点的プログラム構築に関する基礎データを提示予定である。また、研究成果をまとめ、2015年(平成27年)5月にシンガポールで開催の「世界理学療法連盟学術集会(WCPT)」にて発表後、論文化する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額(未使用額:605円)が生じた理由は、試薬、特に麻酔用試薬の使用量が予定量より少なかったことが原因である。 次年度の試薬購入費に充当する。
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Research Products
(8 results)