2012 Fiscal Year Research-status Report
特別支援教育における机上課題の遂行を促すための座位と課題内容
Project/Area Number |
24500576
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
辛島 千恵子 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00324088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 英樹 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70235662)
上村 純一 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70467322)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 特別支援 / 座位姿勢 / 課題遂行 |
Research Abstract |
●①実験1の目的:自閉症スペクトラム(ASD)児と定型発達児の座位姿勢の特徴について明らかにする。②実施内容:ASD児16名、定型発達児16名を対象として簡易上肢機能検査(STEF)を実施中に重心動揺を測定した。③結果:STEFの得点、所用時間と課題遂行内容(STEFの得点)に差はなかった。ASD児のCOPの変動は左右方向において定型発達児よりも大きく(p<0.001)、COPの前後変動と左右の変動比は両者が異なった結果を示した。ASD児におけるCOPの変動は、時間経過と一定の関係を示すものではなく、課題ごとに有意に変動した(p<0.05)。④成果:ASD児における座位姿勢の特徴(すべり落ちそうになる、体がねじれる他)は課題を時間内に遂行しようとする一つの適応的な運動として捉えられた。そのため、支援する側は可視により座位姿勢の評価を慎重に行うことが必要である。 ●①実験2の目的:通常学級に在籍する定型発達児童の課題内容や課題遂行時の姿勢制御の特徴を明らかにする。②実施内容:定型発達小学生28名を対象として、i安静直立ii簡単で時間制限のない課題iii複雑で時間制限のある課題が児童の座位姿勢に与える影響を表面筋電図、重心動揺、座位姿勢を比較した。また、課題の主観的難易度をアンケートにて測定した。③結果:アンケートの各課題の難易度に有意差が認められたことから課題の設定は適切であった。計測した全ての筋で、安静時と比較して各課題実施時に%筋活動が低下した。複雑な課題実施時には、簡単な課題実施時と比較して左右内腹斜筋と左腰部多裂筋の%筋活動が有意に低下した。安静時と比べて複雑な課題実施時は、前後方向重心動揺幅が有意に大きかった。④成果:複雑な課題時には、課題に集中することから姿勢保持に関わる筋活動が低下したといえる。以上から児童の姿勢の制御は実施されている課題の内容に関係することが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度から予備的実験を進めていたため、本実験での重心動揺計(科研費で購入したツイングラビコーダ)での測定が順調であった。また、リクルート先の通常学級やASD児のご家族の研究への理解がありリクルートがスムースであった。 また、実験2については通常学級(地域の小学校)の1室を借用して実験設備を整えることができたことが、小学生の学校生活を侵襲することなく児童の協力を得ることができた。以上の理由により、当初の計画どおりに順調に進んだと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
①実験2の定型発達児童の課題内容と姿勢制御が明らかになつたので、今年度はASD児の実験に進む。 ②実験1と実験2の研究を英論文として、投稿中または投稿準備をしている。 ③名古屋市特別支援教育での児童の支援に役立てる。 i通常学級の教員へのアンケートから児童の姿勢に関する相談についてまとめて、本実験から得られた成果をもとにして、学習課題遂行時の教員の支援の仕方をまとめる ii姿勢のコントロールが課題学習とは関係なく著しく乱れる場合などはASD児特有の感覚過敏(聴覚、触覚など)からの影響が強いと考えられる。それは、支持面に対する臀部のフィット感と関係が強いと考えられるため、市販されている低反発クッション、ハートリーフクッション、馬椅子型クッション、トータルコンタクトクッションなどを使用して課題遂行を促すなかでの姿勢コントロールに良いクッションを検証する。 ④②③の成果を含めて、名古屋市特別支援教育作業療法士専門家チームで「特別なニーズをもつ児童と作業療法」の支援冊子を作る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
繰越金も含めて ①英語論文の校正費(その他10万)②学会発表出張費(20万)③各種クッションの購入費(物品費15万)④特別支援教育作業療法専門家チーム小冊子作成費(その他15万) ⑤④のための会議費、人件費(15万)繰越金の一部) 以上に使用する予定。
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Research Products
(9 results)