2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500581
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
澤井 元 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20202103)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木 哲也 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50183976)
三好 智満 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70314309)
|
Keywords | 人工感覚器 / 視覚 / 網膜変性 / 電気刺激 / ゆらぎ |
Research Abstract |
前年度で、不規則的な間隔のパルス列での電気刺激を脈絡上・経網膜的に眼球に与えると、規則的な間隔の反復刺激よりも強い応答が視覚野で生じていることを電気生理学的に確認できた。この配列は、異なるパルス間隔(= 周波数fの逆数)の出現確率が同じ(いわゆる、1/f0 ゆらぎ) 刺激であった。今年度は不規則配列の最適化を検討するため、高い周波数ほど出現確率が低くなる1/fゆらぎや1/f2ゆらぎ(ブラウン様の変動)を持つパルス列をラット網膜に与え、その刺激に対する視覚中枢の応答を電気生理学的に記録して、固定間隔刺激と1/f0揺らぎ刺激に対する応答と比較する実験を行った。 その結果、1/f0 ゆらぎ、1/fゆらぎ、1/f2ゆらぎで応答の強さの違いが認められなかった。しかし、データを詳細に検討した結果、実験に用いたデジタル式プログラマブル電気刺激装置とスパイク応答解析装置に不具合が生じており、意図した時間間隔のパルス列での刺激とスパイク応答の記録が出来ていなかったこと、加えてパルス間間隔にノイズを発生させていたことが判明した。従って、これまでの実験で得られた結果を基にして3種類のゆらぎ刺激の効果は比較できないことが分かり、電気刺激装置を修理後、次年度に改めて比較実験を行うことにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
電気刺激装置と解析装置の誤動作によって、それまで得ていた実験結果の妥当性が失われてしまい、実験をやり直しする必要が生じた。また、これらの機器の不具合の原因を突き止めるために時間を要したことにより、当初に計画していた動物実験も延期せざるを得なくなった。最適ゆらぎ系列が確立できなかったので、刺激列のライブラリ化が出来なく成り、刺激回路の設計作業も中止せざるを得なくなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度の実験システムの問題点を早急に解消し、計画していた実験、即ち、1/f0 ゆらぎ、1/fゆらぎ、1/f2ゆらぎを持った3種類の不規則刺激列に対する視覚野の電気生理学的応答の比較を行う。さらに、その結果を膜電位感受性色素を用いた光学計測で得られた結果と比較し、3種類の不規則刺激列のうち、刺激効果の高いものはどれかを明らかにする。その上で、「ゆらぎ刺激」を発生する半導体集積回路を製作する。具体的には、ゆらぎ系列のライブラリを作製し、ハードウェア記述言語Verilog HDLを用いてネットリスト化し、プログラマブルロジックデバイス(FPGA)に転送する。製作された回路を使った心理物理学的実験、即ち、非侵襲性の経角膜電気刺激に対する疑似光覚の強さを被験者に主観的に評価してもらうことで、ゆらぎ刺激の効果をヒトで検証するとともに、回路の性能を検証する計画である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
電気刺激装置の不具合とその原因を突き止めるために時間を要したことにより、当初に計画していた動物実験が実施できなくなった。そのために、実験動物の購入と飼育に充てる費用や実験に必要な消耗品の購入を見送ったので、当初予定して使用額が少なくなった。 次年度に電気刺激装置の修理代と延期していた動物実験の実施にかかる消耗品(実験動物、試薬、電極など)の購入に充てる計画である。研究計画全体に変更すべきところはないが、当初計画していた次年度の研究のうち、ヒトでの心理物理学的実験の開始を遅らせる必要がある。
|
Research Products
(4 results)