2014 Fiscal Year Research-status Report
新たな呼吸リハビリテーションを展開するために必要な唾液中酸化ストレス指標の確立
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24500584
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
関川 清一 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 准教授 (30363055)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 呼吸リハビリテーション / 唾液中酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
呼吸リハビリテーションが処方された入院期呼吸器疾患患者32名を対象とし、唾液酸化ストレスマーカーの検体解析の信頼性および再現性に関する基礎的検討を行った。唾液採取は、唾液採取チューブを用いて付属の綿を噛むことで行い、呼吸リハビリテーション実施前と実施後の2回のタイミングで実施した。各タイミングで得られた検体は、3分割し連続して唾液中BAPを測定し、同時再現性を確認した。呼吸リハ実施前の検体は、変動係数(CV)1.4~19.1%、級内相関係数ICC(1,1)=0.962,ICC(1,3)=0.987であった。実施後の検定は、CV1.34~24.2%、ICC((1,1)=0.959,ICC(1,3)=0.986であった。よって唾液中BAP検査実施おいて、同時再現性は、ばらつきを認められる検体が認められるが、検体内信頼性が高いことが明らかとなった。 さらに、運動療法を中心とした呼吸リハビリテーションが唾液中酸化ストレスマーカーに与える影響を検討した。呼吸リハビリテーション処方時と退院時の2回、それぞれの運動療法前後に唾液を採取し、BAP値を解析した。BAP値は、検体を連続して3回解析し、平均したデータを代表値とした。運動療法は、研究施設の理学療法士によって立案し、実施した。リハビリテーション処方時の運動療法前は、3782.1(2485.6)μmol/L(中央値(四分位範囲))、運動療法後は、3374.0(1828.5)μmol/Lであり、有意な変化を認めた(p=0.024)。退院時の運動療法前は、4287.2(1584.0)μmol/L、運動療法後は、3677.3(1731.7)μmol/Lであり有意な変化を認めた(p=0.005)。以上のことより、単回の運動療法を中心とした呼吸リハビリテーションは、唾液中酸化ストレスに影響を及ぼすことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は、呼吸器疾患患者を対象に、唾液中酸化ストレスマーカーの基礎検討を行い、検体解析の信頼性および再現性を明らかにした。さらに、呼吸リハビリテーションによる酸化ストレスの応答と特徴所見を検討した。これは当初の研究の目的および研究計画の進行を達成することができた。しかし、酸化ストレスマーカーの解析はほぼ終了しているが、臨床医学的所見との要因解析が途中であり、研究成果の公表が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
唾液中酸化ストレスマーカーの臨床意義を明らかにするために、運動耐容能や機能的活動性といった従来の呼吸リハビリテーション効果指標である身体諸機能との関連を追加して検証する。これは、医療機関医師ならびに理学療法士と連携作業により臨床医学データ解析を実施することで対応し、研究協力機関との連携を強化する。次年度の中間までには臨床医学データの収集および分析を終了し、成果を公表する。
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Causes of Carryover |
酸化ストレスマーカーの解析はほぼ終了しているが、臨床医学的所見との要因解析が途中であり、研究成果の公表が大幅に遅れている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究成果公表のための学術論文校閲料に使用する。
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