2012 Fiscal Year Research-status Report
膝関節回旋角度計の開発ー膝前十字靭帯損傷による回旋不安定性の精密計測ー
Project/Area Number |
24500586
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
木村 浩彰 広島大学, 病院(医), 教授 (60363074)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
出家 正隆 広島大学, 大学院医歯薬保健学研究院, 教授 (30363063)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 三次元加速度計 / 膝前十字靭帯損傷 / 膝関節回旋角度 |
Research Abstract |
膝関節の外傷である膝前十字靭帯損傷は最も頻度が多く、臨床上問題となる。膝前十字靭帯損傷により、大腿骨に対する脛骨の回旋不安定生を生じるが、現在回旋方向の不安定生を定量的に測定する方法はない。今回、膝関節の回旋方向の不安定性を定量的に測定するため、三次元加速度計(Pocket-IMU2、ジースポート社、東京)を用いて膝関節回旋角度を測定する方法を世界で初めて実現した。 下肢に既往のない成人12名(男性6名、女性6名:平均20.8歳)を対象とした。対象の膝関節30度屈曲位で座位をとり、大腿部と足部を固定した。下腿部前面と大腿部前面(膝蓋骨上10cm)に三次元加速度計をベルトで1個ずつ固定し、専用コンピューターに測定用ソフトをインストールして測定を行った。足関節を短下肢装具で固定した後、膝関節の最大外旋と最大内旋を回転トルク14Nmで他動的に3回行い、三次元加速度計の相対的偏位から回旋角度を求めた。平均内旋角度は男性19.3±9.4度、女性17.8±7.4度であり、平均外旋角度は男性14.7±8.0度、女性16.2±5.2度であった。総回旋角度は男女共34度であった。 三次元加速度計により膝関節の回旋角度を測定する事が可能となり、膝前十字靭帯損傷の客観的評価から手術方法の是非、術後リハビリテーションの効果判定など多様に用いられる。三次元加速度計を皮膚に固定する際、軟部組織の偏位を同時に測定する誤差を排除するため、超音波エコーによる骨画像を併用する方法を次年度より試行する予定である(特許申請済)。また回旋角度を実際の運動時に測定できるよう、大腿部と下腿部に三次元加速度計を2個ずつ固定し測定する方法をジースポート社と検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
膝関節の回旋方向の不安定性を定量的に測定するため、三次元加速度計(Pocket-IMU2、ジースポート社、東京)を5個購入した。当面、大腿部と下腿部にそれぞれ三次元加速度計を設置し膝関節回旋角度を測定する方法を世界で初めて実現した。 健常人12名(男性6名、女性6名)の膝回旋角度を測定し、平均内旋角度は男性19.3±9.4度、女性17.8±7.4度であり、平均外旋角度は男性14.7±8.0度、女性16.2±5.2度であった。総回旋角度は男女共34度であった。 三次元加速度計により膝関節の回旋角度を測定する方法を確立できたため、初年度の研究目的を達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
三次元加速度計により膝関節の回旋角度を測定する事が可能となり、膝前十字靭帯損傷の客観的評価から手術方法の是非、術後リハビリテーションの効果判定など、臨床で実際に使用する。そのため、研究の倫理申請を行う。 三次元加速度計を皮膚に固定する際、軟部組織の偏位による誤差を排除するため、超音波エコーによる骨画像を併用する方法を次年度より試行する(特許取得済)。 膝前十字靭帯損傷は運動時に発生するため、膝30度固定位のみの測定では不十分である。そのため、三次元加速度計を大腿部と下腿部に2個ずつ固定し、点で測定する方法から面で測定する方法を検討する。理論的には可能であり、ジースポート社と専用測定ソフト作成を検討中である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
三次元加速度計により膝関節の回旋角度を測定する事が可能となり、膝前十字靭帯損傷の客観的評価から手術方法の是非、術後リハビリテーションの効果判定など、臨床で実際に使用する。そのため、研究の倫理申請を行う。膝前十字靭帯損傷の手術は年間80例以上あるため、これらの患者の術前後、術後リハビリ中に膝関節回旋角度を測定する。 超音波エコーによる骨画像を併用するため、骨関節用のエコープローブを2個購入する。 三次元加速度計を大腿部と下腿部に2個ずつ固定し点で測定する方法から面で測定する方法を検討する。決められた位置で三次元加速度計を2個固定するための治具を金属加工メーカーに依頼して製作する。概ね30-50万円を予定している。また測定理論について実現可能である旨をジースポート社から得ており、測定用の専用ソフト開発を検討している。専用ソフトであり、概ね100万円を予定している。
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