2013 Fiscal Year Research-status Report
膝関節回旋角度計の開発ー膝前十字靭帯損傷による回旋不安定性の精密計測ー
Project/Area Number |
24500586
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
木村 浩彰 広島大学, 大学病院, 教授 (60363074)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
出家 正隆 広島大学, その他の研究科, 教授 (30363063)
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Keywords | 膝靭帯損傷 / 三次元加速度計 / 動作解析 / 膝関節内旋角度 / スポーツ障害予防 |
Research Abstract |
研究目的は、膝靭帯損傷に最も重要な膝関節内外旋を測定できる装置を開発することである。平成25年度、三次元加速度計をセンサーとして、健常者の大腿部と下腿部にそれぞれ三次元加速度センサーを装着し、Biodex装置に被験者の下肢を固定した上で膝内外旋角度を測定する装置を開発した。平成25年度はこの装置で健常者6名の膝内外反角度を測定できた。膝内外反角度は平均して30度であったが、標準偏差が大きく個人差があることが分かった。現在、研究に対する倫理申請を行い、膝靭帯損傷患者に対して同様の測定ができるよう準備中である。 現状の測定装置は被験者の下肢を固定し自由度を制限しなければ測定した数値が何を示しているか判然としない。そのため、病院で安定した肢位でゆっくり測定することは可能であるが、実際のスポーツ場面では測定できない。この問題に対して、(株)ジースポート(東京)と協働し、三次元加速度計を大腿部に2個、下腿部に2個設置し、複数台で情報処理することで内外旋や内外反、前後方向の歪みが的確に測定できる装置を開発した。現在、物性値の基礎的な調整が終了し、ソフトウェアの作成にとりかかっている。実際の運動時に膝関節内外旋角度を測定し、靭帯損傷を予防する試みは世界初であり、スポーツ障害の評価と治療および予防までカバーできる画期的な研究である。病院の倫理審査が終了次第、こうした評価を加え実務的に役に立つ研究を推進する準備が整った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
膝関節内外旋を測定できる装置について、安静時であれば測定できる装置を既に開発した。約50gの三次元加速度計をセンサーとし、大腿部に1個、下腿部に1個それぞれ固定する。検査する下肢が不安定に動くと全て加速度計がひろってしまうので、Biodex装置に検査する下肢を固定する。その上で膝関節を内外旋させ、角度を測定する。現状で直方体の加速度計センサーを固定する手技が確立していないが、容易に下肢に固定できるよう、義肢装具業者にジグを作製予定である。健常者6名について測定し、膝内外旋30°という結果を得た。研究の倫理申請中であり、申請が受理され次第、靭帯損傷患者に対して同様の評価を行う。当院は年間200例以上の靭帯損傷手術を行っており、術前評価および術後評価として膝内外旋角度を測定し、その経過を明らかにする。現状で、膝内外旋角度を測定する装置を開発し、健常者の測定に成功したので、研究を概ね順調に進んでいると考えます。
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Strategy for Future Research Activity |
膝靭帯損傷患者に対して術前評価として本研究の成果を応用する。現在、病院の研究倫理申請中であり、受理され次第靭帯損傷患者に応用する。術前と術後を比較し、手術効果や臨床結果との相関を見る。 また、現在三次元加速度計を大腿部に1個、下腿部に1個設置する形式としているが、大腿部と下腿部に容易に設置できるジグを開発する。これは義肢装具会社に依頼し、義足のソケットに準じて創る予定である。 膝靭帯損傷を予防するため、実際のスポーツ場面で膝関節内外旋を測定できる手技が求められている。これに対して三次元加速度計を大腿部に2個、下腿部に2個設置し、4つのセンサーを駆使して測定する新しい装置を開発中である。既に基礎的な評価は終了しており、今後ソフトウェアを調整し実際に測定する準備を行っている。これが完成すれば実際のスポーツ現場においても膝内外旋角度を測定可能となり、スポーツにおける靭帯損傷を生じる危険な動作の探索や、個人的な要因の調査など世界初の機器となる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成26年度は今までの結果を総括し論文化しなければならない。従って、論文作製と英文化するため経費を生じた。 論文を作成し英文化するため20万円前後かかると考えている。また、研究を完遂するため三次元加速度計を固定するジグを創る予定であり、これに対しても数万円の経費がかかると考えている。
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