2012 Fiscal Year Research-status Report
脳外傷の高次脳機能障害者に対する居宅訪問面接と行動観察による地域リハ・ニーズ評価
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24500599
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
佐鹿 博信 横浜市立大学, 市民総合医療センター, 教授 (50235298)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 尚久 横浜市立大学, 附属病院, 准教授 (90315789)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 外傷性脳損傷 / 高次脳機能障害 / 心理社会的問題 / 社会参加 / 地域リハビリテーション |
Research Abstract |
2012年度は、調査対象の候補者109例を抽出した。このうち60例に、郵送法にて本研究への参加を働きかけ、2012年度の登録者は18名であった。居宅訪問による面接調査を選択した症例は5例であり、他の13例は本学附属病院での来院聞き取り調査であった。脳挫傷/脳出血 9、DAI 7、SAH/SDH 2。平均32.2歳(18.9-45.1)。男/女;10/8。受傷から面接まで45.5M(14.3-69.6)。面接調査時に高次脳障害あり 10、主に心理行動障害あり 5、いずれも不明確 3名。 質的記述法により、参加制約と地域リハニーズ評価を行い、参加制約に対する心理社会的要因を評価した。面接調査時では、社会参加あり9名と社会参加なし9名であった。就労7(原職3・自己都合転職1・大卒後で看護師1・嘱託1・不明1)、大学復学(留年無し)1、主婦1、就労支援施設1、生活支援施設2、無職6(求職中1)。社会参加ありの3名を除いて、他は軽中度の高次脳機能障害を認め、心理社会的問題を抱えていた。心理社会的評価では、半構造化面接による口述記録の分析が重要であり、Role-Social Component Summary (SF-36) と Sydney Psychosocial Reintegration Scale (SPRS-2)が全般的評価として有用であった。 地域リハニーズでは、「高次脳機能障害の再評価」「併存障害などの診療支援」「精神医療への受診支援」「Significant othersのストレス相談」「生活支援施設との連携」「就労を継続維持するための職場環境調整への支援」「就労支援」「障害等級診断」「賠償問題への支援」などが挙げられた。 受傷後長期間を経過し、安定した地域生活の状態であっても、頭部外傷後の心理社会的問題は多彩であり、リハニーズへの継続的フォローが必要であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
居宅訪問による面接調査を選択した症例は5例であり、他の13例は本学附属病院での来院聞き取り調査を希望した。そのため、面接調査の日程調整が円滑に進まなかった。 ICレコーダーによる面接記録の収録を承諾したケースはなく、口述内容を研究者2名により筆記し、文章化した。そのため、面接記録の照合に労力を要した。 面接にて、高次脳機能障害が解消しており良好な就労を維持できていたものについては、高次脳機能検査を省略した。
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Strategy for Future Research Activity |
【平成25年度】1)対象者の登録と層別化:平成24年度調査で返信の無かった候補者と残り約50例に対して、本研究の趣旨と目的を説明し、本研究への参加登録を継続する。平成24年度研究登録者を合わせて、社会参加あり群(就労/復学している者:約20例)と社会参加なし群(就労/復学できていない者:約20例)の2群に層別化する。2)神経心理学的評価(在宅リハの開始時と終了時の2回評価):WAIS-III、注意機能(Trail Making Test、かなひろいテスト)、記憶機能(RBMT、WMS-R)、遂行機能障害(BADS)。3)心理社会的評価(在宅リハの開始時と終了時の2回評価):情動(Zung)、認知-行動障害尺度(TBI-31)、SPRS-2(日本語訳)、QOL(SF-36 v2)。4)居宅訪問または来院による半構造化面接と行動観察評価。5)半構造化面接の逐語録の質的解析と在宅リハ・ニーズ評価:SPSS Text Analysis for Surveys とグランデッド・セオリー・アプローチを用いて質的に解析し、高次脳機能障害による参加制約に関するカテゴリーを抽出分析して在宅リハ・ニーズを質的に評価する。6)在宅リハニーズ評価に基づく在宅リハ:研究協力者(横浜市総合リハセンター小池純子氏)に在宅リハ計画書を提示して在宅リハ・サービスを試行する。7)在宅リハの効果判定と満足度調査。8)研究成果の公表(リハ関連学会での研究発表と論文投稿など):7thISPRM(国際リハ学会-北京)へは1演題を登録した。 【平成26年度】SPSS Text Analysis for Surveysとグランデッド・セオリー・アプローチを用いた質的解析を継続し、高次脳機能障害者に対する在宅リハ・サービスについて考察して在宅リハへの提言をまとめ、研究報告書を作成し、リハ関連の学術誌へ原著論文を投稿する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
設備備品費:6万円。消耗品費:30万円。外国旅費:60万円(研究代表者と研究協力者(高田薰子)の2名が国際学会(10th World Congress on brain injury)へ発表予定であり、外国旅費を2名分で計画した)。国内旅費:20万円。人件費・謝金:20万。その他:10万円。
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Research Products
(3 results)