2013 Fiscal Year Research-status Report
脳外傷の高次脳機能障害者に対する居宅訪問面接と行動観察による地域リハ・ニーズ評価
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24500599
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
佐鹿 博信 横浜市立大学, 大学病院, 教授 (50235298)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 尚久 横浜市立大学, 大学病院, 准教授 (90315789)
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Keywords | 外傷性脳損傷 / 高次脳機能障害 / 心理社会的問題 / 社会参加 / リハビリテーション |
Research Abstract |
対象候補109例を抽出し、郵送法にて87例に本研究参加を働きかけた。対象者は2012年度18例、2013年度13例であった。聞き取り調査は居宅訪問9例、来院22例で実施した。本研究継続進行中の4例(2014年4月)を除いた27例にて本概要書を作成した。 神経心理学的評価(WAIS-III、WMS-R、RBMT、BADSなど)、自記式心理評価(Z-SDS)、SF-36を実施した。質的記述法(半構造化面接)により参加制約と地域リハニーズを評価し、Sydney Psychosocial Reintegration Scale(SPRS)を評価した。 救命救急センターから直接自宅退院は8例。脳挫傷/脳出血14、DAI8、SAH/SDH5。受傷時年齢36.9歳(18.9-62.9)。男14、女13。受傷から面接調査まで50.7M(14-82)。面接調査時では高次機能脳障害16、心理行動障害4、心理障害2、問題なし5例。社会参加あり群15例と社会参加なし群12例。正規就労10、接客1、失業中1、主婦4、大学復学1、就労支援施設1、通所作業所3、無し5、入院1であった。 心理行動障害の有無にかかわらず、WAIS-IIIなどで軽中度の神経心理学的障害を示した。社会参加なし群は社会参加あり群よりも、SPRSとSF-36(RCS)で心理社会的問題が大きかった。不適切な心理行動を示した4例では、SPRS評価得点が健常者の得点よりも低かった。大切な他者のSF-36(MCS/RCS)は低下傾向であった。Z-SDSは両群で高い得点を示したが有意差は無し。 多くの慢性期TBIは心理社会的問題が持続し、社会参加にかかわらずリハニーズを示した。それらは、神経心理学的障害の再評価、リハ計画の再作成、損害賠償問題への支援、社会的リハや就労継続への支援であった。慢性期TBIに対してリハ介入を継続することは必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2012年度当初の研究計画に比し以下のようなズレを生じた。いずれも本研究の遂行にとって若干の影響を生じたので、これらを調整し修正しながら研究を遂行した。 1)居宅訪問による面接調査を選択した症例は9例であり、他の22例は本学附属病院での来院聞き取り調査を希望した。そのため、面接調査の日程調整が円滑に進まなかった。 2)ICレコーダーによる面接記録の収録を承諾したケースはなく、口述内容を研究者2名により筆記し文章化した。 3)面接調査時に、面接態度や半構造化面接への回答内容が良好であり、明らかに高次脳機能障害が解消し良好な社会参加や就労状態を維持できていたものについては、高次脳機能検査を省略した。 4)2012年度の初期研究計画では、対象を社会参加あり群20例、社会参加なし群20例で設定したが、実際に本研究に参加した者は31例であった。2014年4月現在で4例が介入継続中であった。2回目のSF-36とSPRSを評価できた対象は11例であり、大切な他者(significant others; SO)からのSF-36は15件であった。
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Strategy for Future Research Activity |
【2014年度】1)目標対象数の40例に達しない。これまでに本研究に参加(説明と同意)した31例へのフォローを継続し、調査開始時と開始後1-2年目の心理社会的問題の変化を評価していく。 2)社会参加あり群(就労/復学している者:約18例)と社会参加なし群(就労/復学できていない者:約13例)の2群に層別化する。 3)グランデッド・セオリー・アプローチにより、半構造化面接の逐語録の質的解析を行う。高次脳機能障害による参加制約に関するカテゴリーを抽出分析して在宅リハ・ニーズを質的に評価する。 4)リハ介入と実施した在宅リハに関して、効果判定と満足度調査を行う。 5)研究成果の公表(リハ関連学会での研究発表と論文投稿など)を行う。 6)慢性期の高次脳機能障害者に対する在宅リハ・サービスについて考察して在宅リハへの提言をまとめ、研究報告書を作成する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2013年度では、7th ISPRM(北京)と10th IBIA(San Francisco)に協力研究者の高田薫子と共に出席して、一般演題を発表した(いずれもポスターセッション)。そのために、国際学会参加費(旅費)が予算を超過した。さらに、当初は計画していなかった物品費が生じた。 2014年度の研究予算使用額から超過分を繰り入れて、旅費と物品費を抑制し、本研究を完了させる。
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Research Products
(5 results)