2012 Fiscal Year Research-status Report
T2強調画像信号およびT2緩和時間を指標とした筋活動分析:上肢前腕の筋活動比
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24500609
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Human Arts and Sciences |
Principal Investigator |
秋山 純和 人間総合科学大学, 保健医療学部, 教授 (10285976)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | T2強調画像信号 / T2緩和時間 / 筋活動分析 |
Research Abstract |
平成24年度の実績は、以下のとおり学会発表を行った。 「秋山純和、高森正祥、今泉好偉、横井実佳、 拝師智之、瀬尾芳輝:T2緩和時間変化によるMRI画像変化~手関節尺側屈曲運動における筋活動分析~、第16回NMRマイクロイメージング研究会、2012年」撮影条件はマルチスライススピンエコー法を用い、TR 2500 ms、TE39ms、FOV 200 mm、Slice厚9.5 mm、スライス枚数11枚、積算回数1回を撮影条件とした。運動前、運動直後から5分おきに運動後35分までとした。運動時は、プローブ内に前腕を固定し、2kgか3 kgの重錘を手関節遠位部に負荷した。運動の終了はオールアウトとした。数値解析はimageJ 1.44を用いた。運動直後に尺側手根屈筋、長掌筋、橈側手根屈筋に画像上の変化を示した。TE 39msで活動筋を良好に弁別できた。運動直後では、T2強調画像強度が上昇し、その後次第に運動前に戻ることが観察できた。0.2TコンパクトMRI装置で協同筋の分析が可能と考えられた。 「高森正祥、秋山純和、今泉好偉、横井実佳、 拝師智之、瀬尾芳輝:0.2T T2強調画像による筋活動の評価、第40回日本核磁気共鳴医学会、2012年」手関節背屈運動を分析した。前研究と同様であるが、TE 9 ~339 に変化させた。前研究と同じく運動後に画像強度が上昇し、その後次第に運動前に戻った。伸筋群のうち検出可能な最小の運動筋は橈側手根伸筋で断面積170 mm2、直径10 mmと考えられた。 「高森正祥、秋山純和:運動前後での皮下脂肪と黄色骨髄T2緩和時間比較、第15回心身健康科学、2013年」T2強調画像変化の基準について皮下脂肪と骨髄脂肪の両者の関係を検討した。運動前後で両者に高い相関が得られた。しかし、皮下脂肪は計測面積が少ないため、骨髄脂肪の方が安定的な計測が可能と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、0.2T立位膝用MRIを用い、深部筋および協同筋の筋活動比をT2強調MR画像強度とT2緩和時間を用い分析することである。①T2強調画像信号強度およびT2緩和時間に関して、筋活動の再現性、妥当性を検討する。②表面筋電図法では、検出が困難であった深層部の筋と協同筋の筋活動の関係性を筋活動比から明らかにする。③電気刺激による筋収縮についてT2強調画像強度とT2緩和時間から頻度、時間、刺激の最適な方法を決定する。④随意運動による筋収縮と電気刺激による筋収縮の違いから運動分析を行う。 平成24年度は、MRプローブ中で前腕を固定し同時に手関節背屈・掌屈運動が可能なデバイスを作製した。デバイスは、運動時に前方にスライドでき、運動後に元の位置に確実に撮影できるようにした。また、同時にマルチスライススピンエコー法の画像上で位置決めの確認ができるようした。運動時の抵抗運動は、当初2kgか3kgで行っていたが、重錘の購入で正規化できるようにした。マルチスライススピンエコー法における撮影条件は、TR 2000 ms、TE39ms、マルチエコー法ではTR2000ms、TE10msに決定した。運動前後の測定回数については当初11回と考えていただが、拘束時間と画像上の変化から9~10回として運動直後から25分までにしたいと考えている。 当初、重錘負荷量は最大筋収縮の40、60、80%の 3種類と考えたが等尺性収縮が困難なため、等張性収縮で最大収縮の25%までの負荷が適切であることがわかった。これを踏まえて、最大等尺性収縮の25%までを3段階に変更して現在計測を続けている。運動方法、撮影シーケンスが設定でき再現性、妥当性が高められたので、平成24年度の目標は概ね達成していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、平成24年度で作製したデバイス、改良した撮影シーケンス及び決定した運動負荷方法で手関節の背屈および掌屈運動および回内運動の回外運動に関する筋活動比を順次分析する。平成24年度の研究は、T2強調MR画像強度での計測で分析可能であることが分かった。平成25年度はマルチエコー法によるT2緩和時間を用い測定することで判定量的な分析を行う。マルチスライススピンエコー法で前腕長の近位3分1の横断面の位置を確認した後、マルチエコー法により運動筋の分析を行う。目的とする運動は、(1) 手関節掌屈運動 (2) 手関節背屈運動を分析した後、 (3) 前腕回内運動 (4) 前腕回外運動の分析を行う。この運動に関しては再度前腕の動きとデバイスを調整し、また抵抗負荷を回内、回外に掛ける場合の重錘の位置を調整する必要がある。 主要設備との関連では、平成25年度購入物品として電気刺激装置を予定している。平成26年度に随意運動に対して電気刺激による筋収縮で両者の特性を知るため、平成25年度に電気刺激による筋収縮の変化を平成24年度の撮影シーケンスを用い予備研究を行う。今後の研究として、平成26年度に手関節背屈運動では長橈側手根伸筋、短橈側手根伸筋と同時に示指伸筋、総指伸筋、小指伸筋の活動比を分析する。①電気刺激による収縮とMR画像におけるT2強調MRI画像強度とT2緩和時間を測定する。②随意運動による筋収縮と電気刺激による筋収縮の違いを検討する。このため平成25年度に準備として、電気刺激の方法を神経筋電気刺激法(低周波電気刺激)、高電圧電気刺激法のうち最適な刺激方法と電気刺激の時間を15分以内で全可動域の動きが起こる状態を目標に探索する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、平成24年度に得られた知見をもとに、手関節尺側屈曲運動、手関節背屈運動、前腕回外運動、前腕回内運動の分析を順次行う。平成25年度電気刺激装置を購入し、平成26年度に向けて予備研究を行う。現在測定を続けている手関節尺側屈曲運動について、主動筋に対して協同筋が観察できていると考えられる。運動に対する協同筋を各筋の活動状況を確認するために随意的筋収縮に対して電気刺激により非随意時の筋収縮時として活動筋を確認する必要がある。関節の動きに伴う筋活動をMR画像で観察しているが、解剖図表より判断しているので個別に電気刺激を行いMR画像で活動筋を確認する必要がる。また、電気刺激で単独で筋収縮をさせたときのT2緩和時間を基準にして、随意運動時のT2緩和時間の比較を試みる。このため平成25年度に平成26年度の準備として、手関節尺側屈曲運動における活動筋として尺側手根屈筋、橈側手根屈筋、尺側手関伸筋に対して各単独に電気刺激を行い随意運動時との差を観察する。このため平成 25年度電気刺激装置を購入し、平成26年度に向けて電気刺激に方法を決定しておく必要がある。電気刺激による筋収縮でMR画像の変化が観察できる条件を探索する必要がある。電気刺激は最大15分程度として、刺激条件を探索する必要がある。筋への電気的刺激では、神経筋電気刺激法(周波数 1~ 250Hz、パルス幅 0.1~ 0.2、出力電流 1~50mArms)高電圧電気刺激法(周波数 0.5~ 200Hz、パルス幅 0.08ms、出力電流 1~47mArms)を考えている。平成24年度次年度使用額で被験者の椅子姿勢での安静状態を快適に改善のために椅子、枕、クッションに使用する。平成25年度に得られた知見は、理学療法関係学会、MRI関係学会において学会発表を行う。
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Research Products
(3 results)