2014 Fiscal Year Research-status Report
T2強調画像信号およびT2緩和時間を指標とした筋活動分析:上肢前腕の筋活動比
Project/Area Number |
24500609
|
Research Institution | University of Human Arts and Sciences |
Principal Investigator |
秋山 純和 人間総合科学大学, 保健医療学部, 教授 (10285976)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | MRI / 活動筋 / 運動分析 / 運動学 / コンパクトMRI / 評価 / 運動療法 / 理学療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
簡便な臨床評価の可能性の高い0.2TコンパクトMRIを用い、運動分析が可能となるよう、平成24年度は、シーケンスの開発、撮影方法の決定、プローブ内における機能的固定具の開発、運動条件を決定した。重錘2~3kgの負荷でオールアウトまで運動を行った結果、活動筋の分析が可能であることがわかった。平成25年度は最大等尺性収縮(100%Max)の25%Maxの条件で、等張運動を行いオールアウトにより活動筋分析が観察であることがわかった。平成26年度は「T2緩和時間を指標とした15%最大筋力時の手関節伸展運動筋の解析」として、第42回日本磁気共鳴医学会で報告した。15%Maxの条件で等張性収縮運動でも活動筋の観察が可能であった。方法は健常人9名を被験者とした。マルチスライススピンエコーMRI法(TR 2000 ms、 TE 39 ms、FOV 200 mm、Slice厚10 mm、スライス枚数11枚の条件)で撮像位置を確認した。ついで筋活動観察のためCPMGマルチエコー法(TR 2000 ms、TE 10, 20, 30, 40, 50, 60, 70, 80 ms、FOV 200 mm、Slice厚15 mm)で、安静時および運動直後は5分ごとに30分まで6回の撮影を行った。最大等尺性収縮時の筋力の測定は、デジタル筋力計を用いた。測定筋は、腕橈骨筋、短橈側手根伸筋、総指伸筋、円回内筋、尺側手根伸筋、深指屈筋、浅指屈筋、尺側手根屈筋、橈側手根屈筋とした。結果、T2強調画像から活動筋を良好に弁別できた。T2 緩和時間の測定では、短橈側手根伸筋、総指伸筋、小指伸筋に主効果を認めた(p<0.01)。運動直後T2緩和時間が延長し、その後緩やかに短縮し、30分で83.8、83.5、91.7%まで回復した。主動筋の短橈側手根伸筋に対して、尺側手根伸筋を除き協同作用としての伸筋群の活動を確認できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度はシーケンスの開発、撮影方法の決定、プローブ内における機能的固定具の開発、運動条件を決定することができた。等張性収縮運動で重錘2~3kgの負荷でオールアウトまで運動負荷を行った結果、活動筋の分析が可能となった。平成25年度は正規化を行うためデジタル筋力計で最大等尺性収縮(100%Max)を測定し、その25%Maxの等張運動でオールアウトにより活動筋分析の観察可能であることがわかった。平成26年度はさらに負荷量を減じた測定結果を、「T2緩和時間を指標とした15%最大筋力時の手関節伸展運動筋の解析」として第42回日本磁気共鳴医学会で報告することができた。手関節伸展25%Max、手関節屈強運動では15%Maxに減じても筋活動の観察が可能であることがわかった。平成26年度は、5%Maxを第一の目標に回内運動と回外運動における活動筋の観察を行ってきた。結果、前腕回内運動では円回内筋、前腕回外運動では、回外筋の活動が観察と考えられる。現在測定を続けているところである。また低周波刺激における収縮筋の変化の様子を観察するため、測定を続けているところである。それぞれ回内運動と回外運動における活動筋の測定と低周波による筋活動の測定を続けているが被験者を逐次増やしているところである。運動に関しては、5%Maxを中心に25%Maxと15%Maxの比較を行う。低周波刺激では、負荷かけたときの活動状況と低周波刺激での筋活動と比較を行う。また低周波による単一筋の収縮と抵抗運動時の協同筋の比較を行う。以上のことから研究計画に対しておおむね順調に進行していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
運動における活動分析の方法として、従来の筋電図法、超音波法に加えてMRI法により活動筋分析が可能であることを示す。本研究ではコンパクトMRI0.2Tにより分析を進めているが本装置は機動性を備えており、臨床上の応用範囲が大きいと考えられる。最大等尺性収縮(100%Max)に対して等張運動25%Max、15%Maxの結果を報告した。現在、より軽度の負荷である5%Maxについて回内運動と回外運動について測定を続け、25%Max、15%Maxと比較した結果を報告する。とくに5%Maxはごく軽度の負荷であり、臨床応用上重要と考えられる。また低周波刺激による活動状態の測定を続けているところである。負荷抵抗時の筋活動と低周波刺激による単一の筋収縮状態の比較から、随意運動時の状態を明らかにすることができる。低周波刺激による筋活動が確認できれば、副次的ではあるが運動療法の補助的手段としての低周波刺激による筋収縮の効果としての知見を得ることに繋がると考えられる。今までのところ、被験者の様子から5%Maxの負荷ではオールアウトになりにくいと考えられるので、現在1000回程度を越えた時点で運動を終了としている。研究計画を遂行するには、研究参加者としての被験者数を確保するために、研究参加者として応募して貰えるよう促進する。今後の研究の推進としては、各負荷における実験参加者(被験者)を逐次増やしていく。当初の計画に変更はないが、臨床応用を考えると最低限度の時間、回数を決定しておく必要がある。このため研究期間内に許される時間内で、負荷量と自覚的スケールと最小限度の回数に関する測定についても観察を行う必要がある。
|
Causes of Carryover |
前腕の深部筋である回内筋と回外筋の測定方法を確立するのに当初計画したよりも時間を要した。前腕部の機能的固定具部と手指におけるデバイス作製に時間がかかった。電気刺激方法の条件と電極導子の形を確立するのに時間を要した。被験者としての研究参加者が予測したより少なく計測が遅れる原因となった。このため主として学会発表等の予算と論文作成の費用、被験者の謝礼に充当予定が未使用となった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
被験者に対する謝礼としての図書券購入費用、学会発表のための旅費等、論文発表費用に充当する。前腕の回内筋と回外筋のための機能的器具とデバイスについては、ほぼ作製できたが引き続き精度を高めるためプローブ内の機能的固定具装具の改良および作製費用に使用する。3年間個人の画像処理装置を使用して計測をおこなってきたが、消耗品との兼ね合いで画像処理装置もしくは1年間延長のための画像処理ソフトの費用に充当したい。
|