2012 Fiscal Year Research-status Report
呼吸困難の情動面にアプローチする呼吸リハビリテーションの開発に向けた生理学的検討
Project/Area Number |
24500611
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
泉崎 雅彦 昭和大学, 医学部, 准教授 (20398697)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 呼吸リハビリテーション |
Research Abstract |
慢性閉塞性肺疾患(COPD)において、生活の質を低下させる最大の要因は、呼吸困難である。しかし、その治療手段は限られ、新たな対策が求められている。本研究の目的は、呼吸困難感の情動面にアプローチする呼吸リハビリテーションの臨床展開に向け、呼吸生理学的、神経生理学的方法を用いて、このアプローチに関する基礎的な学術的背景を得ることである。今回は運動負荷時における呼吸リズムの増加が呼吸困難感の変化と関連があるのか検討した。健常成人男性24名において、自転車エルゴメータを用いて漸増運動負荷試験を行った。呼吸代謝パラメータは呼気ガス分析装置(Aeromonitor AE300)にて測定した。呼吸困難感はVisual analog scale (VAS)にて評価した。各呼吸パラメータ閾値と呼吸困難感閾値はPiecewise regression(SigmaPlot 12)にて決定した。漸増運動負荷により1回換気量が先に上昇し、呼吸数が遅れて上昇するパターンを示した。呼吸困難感閾値VO2は17.6 ± 1.2 ml/kg/min、呼吸数閾値VO2は20.1 ± 1.1 ml/kg/min、1回換気量閾値VO2は22.8 ± 1.4 ml/kg/minであり、各閾値間全てに有意差を認めた。また呼吸困難感閾値と呼吸数閾値の間に有意な正の相関を認めた(P=0.002)。以前示したCO2ガス吸入試験と同様に、運動負荷試験においても呼吸困難感閾値と呼吸数閾値が相関することが示された。つまり呼吸の客観的指標と主観的指標のリンクが明らかとなった。今後はこの機序について検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「漸増運動負荷において、呼吸困難が、情動変化を介して、呼吸リズムを促進させるかを明らかにする」に取り組んできた。呼吸困難が呼吸リズムを促進させることを示唆する知見が明らかとなった。しかしながら、脳波解析による情動変化、脳内活動部位の確認が達成されていない。購入した脳波解析ソフトであるBESAを有効に用いて、これらの課題を速やかに達成しなければならないと考えている。実験時間、エフォートをより多く確保する工夫が必要であったと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
「漸増運動負荷において、呼吸困難が、情動変化を介して、呼吸リズムを促進させるかを明らかにする」に関して、前年度に達成できなかった脳波解析による情動変化、脳内活動部位の確認を達成する。さらに、予定されていた「CO2ガス吸入負荷において、呼吸困難が、情動変化を介して、呼吸リズムを促進させるかを明らかにする」という課題に取り組む。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
脳波解析ソフトが当初の見込みよりも高額となり、PowerLabの購入を行わなかったために当該研究費が生じた。当該研究費については、平成25年度に請求する研究費と合わせて、平成25年度に脳波測定実験器具および呼吸生理実験器具の購入に使用する。
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