2013 Fiscal Year Research-status Report
構音障害のリハビリテーションにおける舌の筋疲労の様相と改善についての研究
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24500618
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
西脇 恵子 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (20398879)
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Keywords | 構音障害 / 言語リハビリテーション / 筋疲労 / レジスタンストレーニング |
Research Abstract |
舌の運動の疲労の様相を明らかにするために、今年度は新たに開発された舌のレジスタンストレーニング機器(ぺこパンダ@JMS)を使って、疲労相の実現を図った。この機器は、10kPa, 20kPa, 30kPaの3種類の舌圧の設定がされている。最大舌圧が20kPa の口腔がん術後の構音障害の患者に対して10kPaと20kPaの機器を使って、レジスタンストレーニングを行った。トレーニング終了直後、5分後、10分後経過した時の /ata/、/aka/の音節の/t/および/k/のVoice Onset Time(VOT)を計測したところ、10kPaの機器ではほとんどVOTの延長が起こらなかった。また、患者自身の官能評価でも10kPaでは疲労の訴えがなかった。これまでの研究で、子音のVOTの延長は運動の遅延を示しており、筋の疲労に関連がある可能性があると明らかにしている。つまり、患者の最大舌圧の50%程度の負荷では、筋疲労は起こりにくいと言える。また、同じ患者群で、初回、3ヵ月後、6ヵ月後に経過を追って評価したところ、VOTは初回よりも6ヵ月後と比較して有意に差があった。また、構音明瞭度(音節)は初回よりも有意に6ヵ月後は良い成績であった。これは構音障害の改善とVOTの短縮化には有意な相関があると言え、このことから、筋疲労が軽減することと構音の改善は関連があると考えられる。 構音障害のある人は、しばしば、「舌が疲れる」と筋疲労を訴える。筋疲労の改善過程とどのような状態で筋疲労が起こるのかを明らかにすることで、患者の構音障害におけるリハビリテーションに貢献できるものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでの研究で、舌運動における健常成人の筋疲労の様相、筋疲労課題を行ったあとの改善過程、構音障害のある人の構音の改善と筋疲労の関係などが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、筋疲労とその改善に 構音時における舌と口蓋の接触パタンを分析し、継時的な変化を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は初年度に当施設でもEPGの電気口蓋床の作成システムを実施できるように構築したが、そのために必要な導線等の購入が取扱い企業の関係で不可能となった。そこでその購入に充てた研究費の使用ができなくなったことから、次年度に繰り越しとなった。 気口蓋床の情報と音声分析が同時に行える機器を購入し、また電気口蓋床の作成の外部委託の費用Redlands Universityで開催されるセミナーに参加し、Michael Groher教授との情報交換にかかる費用を研究費から賄う予定である。
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Research Products
(3 results)