2012 Fiscal Year Research-status Report
歩行者に同調する歩行練習装置の開発と歩行能力評価への応用
Project/Area Number |
24500621
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
田辺 茂雄 藤田保健衛生大学, 医療科学部, 講師 (50398632)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | リハビリテーション工学 / 生体計測 / 動作解析 |
Research Abstract |
平成24年度は,レーザから得られた下腿運動軌跡から,足部の運動軌道を推定する手法を検討した.まず,4名の被験者に対して十分にトレッドミル歩行に慣れさせた後,0.5km/h から5.0km/h までの歩行速度をランダムに実施した.歩行中,提案法として下腿運動軌跡をレーザ測域センサで,従来法として足部運動軌跡を三次元動作解析装置で計測した.提案法においては下腿部の運動軌跡が後方に移動し始めた時期を足部接地,前方に移動し始めた時期を足部離地と定義し,従来法で得られる真値と比較した.その結果,提案法での足部接地時期は真値とほぼ同値,足部離地時期は歩行速度によって真値との差が対数関数的に変化することが明らかとなった.また,足部接地位置は歩行速度に関わらず真値と一定の差を示し,足部離地位置は真値とほぼ同値を示した.これらの結果を基に,レーザから得られた下腿位置座標から,実際の足部接地・離地の時期・位置を推定する式を算出した.さらに,新たな2名の被験者を対象として,歩行能力の評価指標である歩行の時間距離因子を算出し,真値との比較からその有用性を検討した.上記で得られる補正値を使用した後,レーザセンサの値から各時間距離因子を算出した.その結果,遊脚時間の相関は0.29とやや相関がある程度であったものの,立脚時間,両脚支持時間,ストライド時間・距離,一歩時間・距離はすべて0.96以上ときわめて強い相関を認めた. 提案法は簡便に歩行能力を評価できるため,患者の歩行能力を随時評価し,常に最適な歩行練習を提供できる.また,治療効果の向上に伴う患者の入院期間短縮等にも寄与できると考えられ,社会への貢献は大きい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,安価で簡便に設置できる二次元放射状スキャンレーザ測域センサを使用して,実時間で両下肢の位置座標を計測する手法を確立し,トレッドミルの自動速度制御および歩行能力評価への応用を検討することである.研究全体での具体的な目標は以下の5項目である. ①レーザで得られた座標から実際の足部位置を推定する手法を考案する.②健常歩行において,歩行能力評価指標が提案法で算出可能であるか明らかにする.③健常歩行に自動的に同調するトレッドミル制御手法を考案する.④模擬患者歩行において,歩行能力評価指標が提案法で算出可能であるか明らかにする.⑤模擬患者歩行に自動的に同調するトレッドミル制御手法を考案する. 平成24年度の研究実施計画では,①および②について実施予定であったが,どちらも予定通り完了した.①については,歩行能力評価指標の算出に必要となる足部接地・離地の時期・位置において,それぞれレーザで得られた下腿部運動軌跡から真値を推定する手法を考案した.②については,臨床での歩行能力評価として広く用いられている各時間距離因子において,真値と非常に高い相関を認めた.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究において,提案法で算出した各種歩行能力評価指標が真値と非常に高い相関を認めたことから,平成26年度で行う予定であった脳卒中患者による同様の検討を先に検討する.今回の研究に関するインフォームド・コンセントが得られる脳卒中片麻痺患者10名程度を,研究実施機関などで研究内容を掲示して募る.その際に,研究への参加・不参加は個人の自由であり,個人の意思に基づくものであること,研究に不参加または中止の時も何ら不利益を得ることはないことを十分に説明する.また,すべての実験は倫理委員会承認後に行う.被験者に対して十分にトレッドミル歩行に慣れさせた後,歩行可能な速度を数段階に分けランダムに実施する.歩行中,提案法として下腿運動軌跡をレーザ測域センサで,従来法として足部運動軌跡を三次元動作解析装置で計測する.平成24年度の研究において得られた各種補正値を使用した後,レーザセンサの値から各時間距離因子を算出し,真値と比較検討を行う. 研究計画の申請時に平成25年度で行う予定であった,歩行に自動的に同調するトレッドミル制御手法についても予備的検討を開始する.まず健常成人を対象に,快適歩行中の両側下腿部の位置座標について,レーザ測域センサを用いて計測する.加えて,体幹部の高さにレーザ測域センサ,ワイヤセンサ等を設置し,体幹位置座標を計測する.これらのセンサから得られた情報から,両側の下腿部位置,体幹位置,各体節の傾斜角度を推定する手法を検討する.また,歩行に同調した速度制御を行う際に,推定された情報をどのように用いるか併せて検討する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主な購入物品は体幹部等の身体位置座標計測用のセンサであり,研究計画時から購入を予定していた.申請時には,体幹位置座標計測にセレスコ社製ケーブル-エクステンジョンポジショントランスデューサワイヤセンサを用いる予定であったが,歩行に同調した速度制御に必要な計測部位を再度精査し,その計測に最も適したセンサを購入する.平成26年度は模擬患者歩行に自動的に同調するトレッドミル制御手法の考案を予定しているが,その際にも購入したセンサの活用を検討する.
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