2013 Fiscal Year Research-status Report
重度障がい者用車いすシーティングにおける身体の長期変形過程シミュレーション
Project/Area Number |
24500623
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
塚田 敦史 名城大学, 理工学部, 准教授 (70349801)
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Keywords | アクティブバランスシーティング |
Research Abstract |
身体と車椅子との力学的な関係を,数年単位という長期間スケールを想定した姿勢変化の可視化評価が可能となることを第一の目的としており,2013年度は,長時間スケールの評価が可能な解析手法の検討を進めた.初年度は陰解法による解析では遂行に制約が多いとの結果であった.これより,解析を陽解法で目的達成を遂行できるよう検討を進めた.特に本課題は,脊柱に含まれる椎間板などの物性からモデルの非線形性が強いため,陽解法によって長時間スケール評価のための解析の実現性は高くなると考えて進めた.脊柱の3次元モデルデータをベースに遂行の結果,陽解法を行うためには,前年度に陰解法解析のために構築した有限要素モデル以上に,モデルの要素形状や精度の向上が必須となることがわかった.このため,モデルの再構築が必要となり,その構築を進めた.具体的には,すべて6面体形状の要素で表現できるように再構築を進めた.陽解法解析によって,前年度のような解析自体が止まることは無くなり,非線形の強い対象モデルには優位であることが確認された.しかし,数分オーダーの解析条件に対し,解析に費やされる時間的コスト(実行時間)は最大で170時間費やし,時間的コストの削減が目的の達成に向けた課題と確認された.このことについては,ごく最近になりローカルなワークステーションレベルで,大規模並列計算が可能となってきたこともあり,ハードの整備により課題を克服できる可能性が想定されてきた.このことから,ハードウェアとしてGPGPU(大規模数値計算用演算処理装置)を適用するなどの課題検証のために次年度に向けた準備を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度取り入れた陽解法解析向けのために必要となった,有限要素モデルの再構築(要素形状の精度向上)に多大な時間を要したことが,遅れた要因である. また2013年度の大学業務が膨大となり,エフォート率が8%程度にまで低下し,実質研究時間が予定どおりに確保できなかったことも大きく影響した.
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Strategy for Future Research Activity |
身体座位―車いす一体モデルを構築して、重力―身体―機器(車椅子)の力学的な相互作用のシミュレーションを進める.具体的には,(1)ソフト面においては解析手法として陽解法の適用の他,解析中に要素の再定義が可能なアダプティブメッシィングを導入し,(2)ハードにおいては GPGPU(大規模数値計算用演算処理装置;既に今春導入済み)を用いた並列計算を遂行し,ソフト/ハードから時間的コスト削減と解析結果の評価を行う. 解析モデルは,重力線(鉛直軸)からの向きを変えた表現により、車いす座位状態を模擬した簡易な解析モデル による解析と結果の妥当性を評価する.さらに実際の介助型車いすの有限要素モデルを構築した重力―身体―車いすモデルによる検討を行う.車椅子モデルは,導入済みのアクティブバランスシーティング仕様の介助形車いすSTB-07(Nissin社製)を用いる.長期間スケールを想定した身体―機器(車椅子)の力学的な相互作用のシミュレーションの達成を目指す.
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Research Products
(2 results)