2012 Fiscal Year Research-status Report
舌の運動を利用した生活支援技術の開発とリハビリ遊具への応用
Project/Area Number |
24500637
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
佐々木 誠 岩手大学, 工学部, 助教 (80404119)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
巖見 武裕 秋田大学, 工学資源学研究科, 准教授 (10259806)
中山 淳 一関工業高等専門学校, 制御情報工学科, 准教授 (70270212)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 医療・福祉 / リハビリテーション / ユーザーインターフェース / 生活支援 / 舌 / 重度障害者 / 嚥下 |
Research Abstract |
舌は「口の中の手」と呼ばれるほど自由度が高く,素早く正確な随意運動が可能である.また,脳神経に支配されているため,頸髄損傷などによる重度四肢機能障害においても舌の運動機能は残存する確率が高い.そこで,本研究では,舌運動を利用した新しい生活支援技術の開発を目的とし,舌の随意運動,嚥下,あくび,開口等のすべての動作に関与する舌骨上筋群の表面筋電位から,舌の随意運動を正確に識別する手法の開発を進めている. 本年度は,主成分分析とニューラルネットワークを利用した舌運動推定法を開発し,下顎底部で観測可能な舌骨上筋群の表面筋電位から,舌の随意運動(舌先を右,左,前方向へ押し付ける3動作)と唾液嚥下の合計4動作の識別,ならびに随意運動の強弱の判別を可能にした.また,筋活動パターンの特徴量として利用するRMS処理(自乗平均平方根)のフレーム幅や,その特徴量を抽出するフレーム周期,ニューラルネットワークの出力値を平滑化する投票数などの組み合わせを検討し,識別率97.5 %,識別速度0.69 秒という高い精度で舌運動を推定できることを明らかにした.さらに,個人差のある下顎底部の形状や電極貼り付け位置の影響を受け難く,より正確な舌運動識別を可能にするために,直径3 mmの銀電極を医療用シリコン上に22個配置した多チャンネル電極と,それに対応する多チャンネル筋電アンプBOXをそれぞれ開発し,実験により有効性を検証した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,以下の3項目に取り組んだが,研究実績の概要に記載した通り,その大部分を問題なく達成することができた. 1)より細かな舌の運動まで精度良く推定できるよう,また,電極位置変化に対するロバスト性を高められるよう,20極以上の銀電極を高密度に配置した多チャンネル電極を開発する. 2)計測用マウスピースが完全に不要な,安全かつ実用的な舌運動推定手法を開発し,口腔内に押し付けた舌の位置やその強弱,ならびに嚥下などを正確に識別する. 3)主成分分析などを利用した筋活動パターンの特徴抽出方法を検討し,推定精度と推定速度を同時に最適化するような舌運動推定アルゴリズムを検討する.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,前年度の成果をもとに,以下の研究課題に取り組む. 1)前年度開発した多チャンネル電極に,プリアンプ機能(インピーダンス変換)とA/D 変換機能を追加し,ノイズ混入を抑制するとともに,多チャンネルアンプBOXのウェアラブル化を図る. 2)表面筋電位の計測と解析(舌運動推定)を行うPCと多チャンネル電極のUSB接続を試み,その後,Bluetooth等による無線化を図る. 3)PCや携帯電話を利用したコミュニケーション支援だけでなく,電動車いすによる移動支援への応用も検討するため,舌運動による電動車いすの制御実験を実施する. 4)舌運動推定手法の改善ならびに推定精度向上を図る.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当しない
|
Research Products
(7 results)