2013 Fiscal Year Research-status Report
舌の運動を利用した生活支援技術の開発とリハビリ遊具への応用
Project/Area Number |
24500637
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
佐々木 誠 岩手大学, 工学部, 助教 (80404119)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
巖見 武裕 秋田大学, 工学資源学研究科, 准教授 (10259806)
中山 淳 一関工業高等専門学校, 制御情報工学科, 准教授 (70270212)
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Keywords | 医療・福祉 / リハビリテーション / ユーザーインターフェース / 生活支援 / 舌 / 重度障害者 / 嚥下 |
Research Abstract |
本研究では,舌運動を利用した新しい生活支援技術の開発を目的とし,舌の随意運動,嚥下,あくび,開口等の様々な動作に関与する舌骨上筋群の表面筋電位から,舌の随意運動を正確に識別する手法の開発を進めている.本年度は,昨年度試作したシート型のフレキシブル多チャンネル電極にプリアンプ回路を組み込み,ノイズ混入を抑制するためのアクティブ化を施した.また,下顎底部への適合性を向上させるために,シート形状,電極配置,電極形状の改良を行った.実験では,舌機能が正常な健常成人男性5名(平均年齢23歳)を対象に,舌骨上筋群の表面筋電位を用いた舌運動の識別精度について評価を行った.対象動作は,舌を左右上下方向へと突き出す4種類の口外動作とした.そして,3種類の異なるフレーム長で切り出した表面筋電位からRMS(root mean square)特徴を計算し,その主成分を抽出した.パターン識別器には,ニューラルネットワークを用い,主成分で定義した特徴ベクトルと動作ラベルの関連付けを誤差逆伝搬法により行った.その後,未学習のデータに対して舌運動の識別を行ったところ,90%以上の精度で口外に突き出す4動作を識別できることが示された.さらに,舌運動によるマウス操作実験を実施したところ,舌を左右に突き出す動作により,マウスカーソルの左右移動を思い通りに制御できることが確認された.これにより,舌の位置や形態を制御する舌筋ではなく,舌骨の位置制御を担う舌骨上筋群の表面筋電位のみから,口腔内外における舌運動をリアルタイムに識別でき,PC等の外部機器をその識別した舌運動に基づいて制御できることが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度開発したシート型のフレキシブル多チャンネル電極に,プリアンプ機能を追加してアクティブ化するとともに,筋電アンプBOXなど周辺装置の小型・軽量化を行った.また,口内だけでなく,口外に突き出す舌運動の識別実験を行うことで,舌運動識別手法の高度化を図った.さらに,コミュニケーション支援や移動支援への応用を可能にするため,識別した舌運動による基礎的な外部機器制御実験を実施した.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,識別精度に影響を与える特徴量と識別器の最適化を図り,舌骨上筋群の表面筋電位から識別可能な動作数やその精度の向上を図る.また,識別した口腔内外における舌運動を可視化するアニメーション技術を開発する.さらに,舌インタフェースを利用したコミュニケーション支援やリハビリテーション支援などへの有用性を実験により明らかにする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品購入に際し,当初予定金額より少なく済んだため残額が生じた 次年度は,本研究課題の最終年度として,国内会議や国際会議への参加,論文投稿などを活発化する予定である.次年度使用額は,その成果発表に関する旅費,投稿費などに使用する.
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Research Products
(7 results)