2012 Fiscal Year Research-status Report
色覚特性者のための視覚的顕著性に基づく注視誘導による生活支援基盤の実現
Project/Area Number |
24500653
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
滝本 裕則 岡山県立大学, 情報工学部, 助教 (10413874)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
満倉 靖恵 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (60314845)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 色覚バリアフリー / 視覚的顕著性 / 視線誘導 / 画像処理 |
Research Abstract |
これまでに、色覚特性者のための色覚バリアフリーシステムや画像の再配色法が提案されている。しかし、色覚特性者に関する無意識的な視覚的注意の引かれやすさである誘目性についての研究はほとんどない。我々は、色覚特性者に対して自然かつ効果的な注視誘導を行うため、視覚的顕著性に基づき、無意識的な視覚的注意である誘目性に影響を及ぼす画像の特徴を明らかにし、様々な色覚特性の型に応じた誘目性モデルの構築を目的とする。さらに、我々が提案した画像の再配色手法に対して、誘目性モデルによる注視誘導技術を適用することにより、異なる視覚的注意からなる新しい概念のカラーユニバーサルデザイン基盤技術を提案し、その有効性を示す。 本年度では、人の注視を遮ることなく、より自然に視線を誘導する視線インタフェースの実現を目指して、視覚的顕著性に基づく違和感のない画像修正法を提案した。見る対象の様子によって注視のしやすさは変わるという発想に基づき、注視の引き込みやすさを示す指標として、ittiらによって提案された視覚的顕著性マップの計算モデルを利用した。そして、画像中で指定した領域の視覚的顕著性が最も高くなるように輝度と色相を画素ごとに調整することで、自然かつ効果的な注視誘導を行う技術を実現した。さらに、提案手法の有効性を検証するため、視線計測装置を用いて意図した領域に視線を誘導できているか検証した。また、提案手法を用いて修正した画像が、従来法よりも被験者に違和感を与えないことを確かめるため、主観評価実験を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、主に以下に示す3つの項目について研究を行った。 1)人の注視を遮ることなく、より自然に視線を誘導する視線インタフェースの実現を目指して、視覚的顕著性に基づく違和感のない画像修正法を提案 2)視線計測装置を用いて意図した領域に視線を誘導できているか検証するための評価実験環境の構築 3)色覚特性者に対する再配色手法の改善 実施順序に関して、視線誘導技術を早期に確立するため、交付申請書の研究計画に記載した内容から多少変更した。しかし、全体としてはおおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画として、基本的には当初の申請書通りに進める予定である。特に、平成25年度は、色覚特性に応じた誘目性モデルの構築(誘目性に寄与する特徴の解析)を行うため、我々は、様々な視覚的情報に対する色覚特性者の視線情報を収集後、ノイズを除去するため時系列分析を行う。そして、色覚特性者の視線移動モデルと最も一致するような顕著性マップを求め、得られた最適な顕著性モデルのパラメータをもとに、色覚特性の型に応じた誘目性モデルを構築する。 一方、より実環境下での利用を想定した誘目性モデルの向上を目的とし、人間の視覚特性において時間方向のダイナミクスを示す現象として知られる復帰抑制と、空間に対する特性である周辺視野特性のモデル化を行う。さらに、被験者やシーン内オブジェクトの移動を考慮し、シーン内で発生する運動javascript:onSave();の変化量を求め、周辺視野特性の動的変化を数理モデル化し誘目性モデルに導入する予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度に購入した視線検出装置が比較的安価であったため、旅費(調査研究旅費)や参加登録費などが当初の予定より必要となったものの、全体としては予定していた支出よりも少なかった。この差額分については、今後、視覚特性に基づく誘目性モデルの提案・評価を行うにあたり、共同分担者との連携を密にするため、調査研究旅費として使用する予定である。当初予定していた平成25年度分の研究費については、計画通りに執行する予定である。 なお、研究経費の旅費の一部については、国内外で開催される学会での研究成果発表に関する大学院生(岡山県立大学大学院 電子情報通信工学専攻 有田里美、国井達彦)の旅費等に当てる。
|