2013 Fiscal Year Research-status Report
眼電位を用いた重度肢体不自由者におけるアクセシビリティ機器の入力動作に関する研究
Project/Area Number |
24500657
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
小山 裕徳 東京電機大学, 未来科学部, 教授 (00120113)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川澄 正史 東京電機大学, 未来科学部, 教授 (40177689)
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Keywords | ヒューマンインターフェース / アクセシビリティ機器 / 眼電位 / 瞬目 |
Research Abstract |
身体障害者のQOL向上のために種々の支援装置が開発され,肢体不自由者においてはコミュニケーション支援装置などが挙げられる.肢体不自由者の自立した生活や社会参加などを支援するには,障害者自身による福祉機器等の操作の実現が不可欠となる.筋萎縮性側索硬化症などの進行性疾患では,病状の進行に伴い操作に必要な動作が損なわれてしまう.したがって,病状の進行に影響を受けずに残存する機能を用い,機器操作を実現させる必要がある.そのため,機器を操作するためのアクセシビリティ機器が必要となる.本研究はアクセシビリティ機器として眼電位を用いる手法を解析・評価する. これまで我々は,随意性瞬目を眼電位より抽出する方法は提案し,連続した随意性瞬目および注視位置を用いた入力動作の検討を行った.瞬目間隔を300ms以下とした場合,特異的な随意性瞬目の波形が生じることが確認された.また,注視位置においては眼電位では厳密に注視点を同定する高い精度は望めないが,大まかな注視位置を識別することは可能であり,上方視および前方視を組み合わせた入力動作の提案を行った.これまでは直流増幅された眼電図法を用い,大まかな眼球運動と随意性瞬目をアクセシビリティ機器の入力動作として提案を行なってきた.しかし,直流増幅された眼電図法ではゆっくりとした電位変動であるドリフト現象が問題となっていた.一方,低周波数成分を除去した交流増幅された眼電図法ではドリフト現象による影響は無いが,時定数により電位が減衰する.また,交流増幅された眼電図法を用いた入力動作の提案はなされておらず,これまで提案した入力動作が利用可能か検討を行った.その結果,時定数を0.03sとすることで,電位変動が少なく,入力動作の抽出に適した電位波形を得ることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では(1)連続した随意性瞬目による電位波形への影響,(2)視線の注視位置情報による随意性瞬目の電位波形の変化,(3)眼電位より各動作の抽出方法の検討,(4)入力動作の利用可能性の検討,(5)本研究の総合的評価,の五つが大きな流れとなる.平成25年度において(3)および(4)の二つの検討を行い,おおむね順調に進展していると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
瞬目を用いた入力動作を利用し,アクセシビリティ機器の入力動作の検討として,コミュニケーションツールによる文字入力を行う.この結果より,誤入力などが生じる特徴の検討,抽出方法の再検討を行う.また,文字入力の方式としてはオートスキャン方式のおよび符号化入力の文字入力実験を行う.これまで重度肢体不自由者が多様しているオートスキャン方式の検討を進めてきた.しかし,本研究において瞬目を用いた複数の入力動作を提案できたため,符号化入力方式による文字入力の検討も行い,平均文字入力速度を測定する.これらの実験結果より,随意性瞬目による入力動作の総合的評価を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度においては平成24年度にて購入した消耗品や解析ソフトウェアを活用し,ソフトウェアに関わる書籍やデータ保存用として使用したが平成25年度の物品費等の使用額が異なってしまったため次年度使用額が生じている.また,旅費においては国際発表を行ったため,使用額に差が生じている. 実験の回数により使用額が異なるが眼電位を計測するためにディスポーザブル電極の消耗品が必要となる.また,計測中にビデオカメラにて記録を行うため,ビデオテープおよびデータ記録メディアなど計算機周辺パーツが必要となる.実験の安全性およびデータ解析するための効率を考え,データ整理としてアルバイト代を計画している.また,実験においてフィールドまでの交通費,機材の宅配便費,成果発表のための学会参加費,論文投稿料を必要とする.
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Research Products
(2 results)