2012 Fiscal Year Research-status Report
ロボットスーツハルを用いたリハビリテーションプロトコルの開発と有効性に関する検討
Project/Area Number |
24500659
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
河西 理恵 東京工科大学, 医療保健学部, 講師 (60458255)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水島 岩徳 東京工科大学, 医療保健学部, 助教 (20590988)
武田 朴 東京工科大学, 医療保健学部, 教授 (40583993)
武藤 友和 東京工科大学, 医療保健学部, 助教 (50583986)
木村 裕一 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, 室長 (60205002)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 福祉・介護用ロボット |
Research Abstract |
本研究の目的は、要介護高齢者に対するロボットスーツHAL(以下:HAL)を用いたリハビリテーションプロトコルの考案、およびその有効性について検討することである。その第一段階として、HALがヒトの動作に及ぼす即時的な変化について、HAL装着の有無により、立ち上がり動作や歩行動作にどのような変化が生じるのかを、筋電図・加速度計を用いて比較し、リハビリテーションの効果を被験者に提示し、参加意欲を向上させることを目的に研究計画を立案した。 同研究案を共同研究先である社会福祉法人善光会に提案し同意を得た。また、同研究について東京工科大学の倫理委員会の承認を得た。善光会が運営する高齢者施設にて、HALの装着およびHAL装着下での運動が可能な身体機能および精神機能を有する被験者候補を善光会スタッフと共同で選定した。現在、リストに基づき研究参加に対する本人ならびに家族への同意を書面にて得る作業を続けている。 また、健常者を対象に立ち上がり動作でプレ実験を試みたが、HALを装着した状態でHALのアシストレベルを変化させても筋電図に一定の傾向は得られず、予想外の結果となった。この原因として、HAL装着下でのヒトの動作を筋電図で解析することへの限界があると思われた。その他の評価手段を検討した結果、現在新たに加速度計によるヒトの姿勢計測データの解析を試みている。 事前に予測できなかった問題として、協力を得られた被験者が少なく、その上、被験者候補者の体調不良等の問題が重なり、十分な被験者数が得られなかったことがある。そのため、より多くの被験者を集める必要が生じており、対応策として現在茨城県にある医療法人に研究協力を依頼し、共同研究に向け準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は研究協力施設である善光会にて十分な被験者数を確保できるという見通しを立てていたが、実際に文書で同意を得られた被験者は5名程であった。さらに、感染症の発生等による病棟の長期閉鎖等が重なり、現在までHALの装着に至った被験者は2名であり、そのうち1名については体力ならびに認知力低下等の問題によりドロップアウトした。そのため、協力施設および被験者を増やす対策として、つくば国際大学医療保健学部の星虎男教授(平成25年3月退職)、および同大学同学部の縄井清志教授に研究協力者として参加協力を依頼し、茨城県常陸大宮市にある医療法人博仁会志村大宮病院を紹介して頂き、新たに研究協力施設に加わって頂いた。平成24年11月より現在まで月1回のペースで研究ミーティングおよびプレ評価等を行い、5名の研究協力者を得、1名の被験者に対し予備評価を行った。 また、有線の筋電計から被験者および研究スタッフの負担が少ない無線タイプの筋電計の機種選定等に時間がかかり、実際に入手できたのが平成24年12月となった。 被験者ならびに研究スタッフの負担が予想以上に大きかった。さらに、被験者に対する計測機器の装着状態が不安定である等の問題が生じた。それらの課題を解決するため、被験者および研究スタッフの負担を減らし、有効なデータを得るための計測方法の見直し、および装着用のテープならびに装具の改良についての検討に時間を要した。そうした事情により、当初の計画では平成24年度中に10名程の被験者データを収集する予定であったが達成できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況から、解決すべき課題として、被験者ならびに研究協力者の負担を減らすことが考えられる。負担の原因の一つに、HAL自体の装着に加え、筋電図の電極等を貼付することにより被験者および研究スタッフ双方の負担ならびに疲労感が大きいことがあった。その対応として、当初使用していた有線の筋電計から、より装着しやすい無線タイプの筋電計ならびに加速度計を平成24年度の本科研費予算で購入し、負担軽減に努めている。 さらに、協力施設の被験者および研究協力者に対し謝金を支払い、具体的な形で謝意を表すこと、および日常のリハビリテーションに研究者が参加し、被験者との信頼関係を確立した上で研究に協力して頂く環境を整えること等について、協力施設と話し合いを進めている。 次に、計測手法についてだが、加速度計を応用した姿勢計測法を考案し、健常者に対する立ち上がり、および歩行動作についてデータ収集と解析を行い、新たな研究デザインの有効性を検討しており、25年度上半期までに研究デザインを完成させる予定である。並行して健常人での立ち上がり、および歩行動作について、標準的な運動パターンを見出し、患者との比較を行う予定である。現在までに得られた研究成果をまとめ、平成25年12月にシンガポールにて開催される国際生体医工学学会にて発表する予定のため、研究分担者および研究協力者に周知し、研究の加速化を図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現在繰越金を含め25年度予算として約190万円ある。繰越金が生じた理由として、平成24年度当初に購入を予定していた生体信号記録装置(予算申請額:170万)と同程度の品質で、より安価な生体信号記録装置(購入金額:82万)を購入できたこと、また、24年度予算として旅費および消耗品代として約110万円を申請していたが、研究の進捗状況がおもわしくなく、学会参加費や消耗品等の支出がほとんどなかったことが挙げられる。 25年度の使用計画については以下の内容で検討している。1.HAL装着時のトレーニング効果を客観的に判定するため、心拍・脈拍等の自律神経系の生体信号を計測できる機器(100万)の購入。2.被験者ならびに研究スタッフに対する謝金(30万)3.研究実施施設への旅費(30万)、筋電図電極等の消耗品の購入(30万)を予定している。
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