2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500665
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
海本 浩一 大阪電気通信大学, 医療福祉工学部, 教授 (90340637)
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Keywords | 在宅ケア / 電解水 / 殺菌消毒 |
Research Abstract |
昨年度は、電解水を在宅で殺菌消毒剤として利用するために在宅利用に向けた装置を、電解水の殺菌主要因である有効塩素(AC)濃度の簡易的計測装置も併せて開発してきたが、電解水は強酸性電解水であった。強酸性電解水は瞬発的殺菌力はあるが持続性がなく、強酸性pHのため生体の粘膜などにも使用できづ、うがいや口腔内の洗浄にも使用できなく利用範囲が狭かった。そこで、この電解水のpHを微酸性、中性領域にすると、これらの問題が解決できることが分かったため、今年度は微酸性、中性生成装置を開発した。その際のコンセプトは食塩水から作成することである。一般に微酸性、中性生電解水の作成には塩酸を用いるが、塩酸の使用は在宅では不向きである。 強酸性電解水作成装置は隔膜を挟んで2枚の版電極を使用するが、今回、微酸性、中性電解水生成装置は無隔膜で円筒型とした。つまり、ステンレスの円筒を陰極として使用し、中央に棒状のグラファイト電極を陽極電極として使用し、0.1%食塩水1Lを20V、30分で通電したところ、溶液のpHは5.7、AC濃度13.8ppmとなった。黄色ブドウ球菌、セレウス菌を用いてこの溶液の殺菌作用を確認したところ、強い殺菌効果がみられた。本装置は隔膜を必要としないため、隔膜交換の必要がなく、陰極電極を電解槽としているため、高価な電極が不要となる利点があり、コストパフォーマンスからも大変魅力的な装置を開発できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は在宅ケアに向けた殺菌消毒液としての電解水利用にあたり、強酸性電解水よりも微酸性、中性電解水の方が在宅ケアでの利用価値が高いことを知ったため、微酸性、中性電解水生成装置の作製に時間を要した。本来、微酸性、中性電解水の生成には塩酸を用いるが、在宅での使用を考慮し、食塩水だけから生成する装置の開発を行ったためである。また、米国への特許出願の準備にも相当な時間を要した。。そのために予定していた電解水装置を在宅で使用するアンケート調査が遅れることになった。しかし、本年度は2年目であるため調査研究は新年度にするつもりでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は、まず、この微酸性、中性電解水作成装置を研究協力者の永田俊司先生の指導の下で改良すべき点を再考する。その後、本装置を卒研生の一般家庭で使用し、装置および電解水の殺菌消毒液としての使用に関する一次アンケート調査を行う。次に、このアンケート結果をうけて、装置のさらなる改良点が指摘されれば永田俊司先生の指導の下で改良を検討する。一次アンケート調査結果をまとめ分析を行い、その内容を検討し最終アンケートを作成する。本装置と最終アンケートを卒研生の家庭に持参し、使用する。 得られたアンケート結果をまとめ、統計処理後、在宅ケアに向けた殺菌消毒液生成装置と利用についてのパンフレット、小冊子作成に取り掛かる。作成したパンフレット、小冊子を産学連携推進部署を通じて配布し、連携事業の基盤とする予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
これまで在宅ケアに向けた殺菌消毒液として強酸性電解水の利用を考え、その生成装置を作製してきたが、種々の調査の結果、在宅ケアでは微酸性、中性領域の電解水の方が用途が広く取り扱いやすいとの判断のもと、微酸性、中性電解水生成装置の作製に切り替えた。そのため、その装置づくりに相当な時間を要し、さらに米国への2件の特許出願にも時間を要したため、本年度予定していた一般家庭での本装置の使用ならびにアンケート調査が遅れて、小冊子、パンフレット作成ができなく、その諸経費が繰り越しとなった。 本年度は研究協力者の永田俊司先生のご指導のもと、微酸性、中性電解水生成装置の効率化に向けた再検討を行う。その後、装置を卒研生の家庭で使用し、装置ならびに微酸性、中性電解水の在宅利用に関するアンケート調査を行い、調査結果を統計処理後、在宅ケアに向けた本装置の小冊子やパンフレットを作成し、産学連携推進センターを通じて企業等に配布し、産学連携事業の基盤とする。
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