2012 Fiscal Year Research-status Report
定量的データに基づくプラスチック短下肢装具機能の分析・評価
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24500666
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
北山 一郎 近畿大学, 生物理工学部, 准教授 (80426535)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 短下肢装具 / プラスチック短下肢装具 / 歩行分析 |
Research Abstract |
装具の本体機能に影響のない装具後方上端部で装具を分割し、その部分に約0.1kgの6軸力覚センサを内蔵した歩行分析用装具を製作、ついで歩行中の床反力が測定できる2点の6軸力覚センサを内蔵した靴を製作し、さらにベルトにより生体に加わる荷重が測定できるセンサを製作、これらを一体として組込んだ装具歩行動的評価システムを開発した。被験者には、同システムに加え膝関節や足関節の動きを測定するためにフレキシブルゴニオメータを装着することで、装具歩行の運動学的データおよび運動力学的でデータをリアルタイムで取得できるシステムとして完成させた。ついで、開発したシステムを用い、歩行速度(ケーデンス)や歩幅等を変化させた様々な条件のもと5名の健常な被験者でのデータを取得した。実験の結果を分析することで、以下の事項が分かった。 プラスチック短下肢装具の体重支持効果は立脚相後期に最大となるが、いずれの歩行条件でも支持効果は体重の3%程度しかなく、装具の体重支持効果は非常に少ないと考えられる。装具が足から受ける装具後方あるいは前方方向に受ける荷重は,立脚相中期から後期にかけて後方側に増加し,踵部離床時に前方方向に最大になる。また、それらの値は体重の約14%(平均約13%)となり、装具に掛かる力の中で最大であることが分かり、また、被験者が変わってもこの値はあまり大きく変化しないことも分かった。さらに、装具が足から受ける装具後方あるいは前方方向に受ける荷重は、歩行速度(ケーデンス)の変化に対し有意な差が見られず、このことは、装具に評価において歩行速度は大きく考慮する必要はないことが示唆された。一方、歩幅の変化に対しては、上記の荷重に有意な差が見られることが分かり、装具の評価において歩幅が重要な要素であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該研究の平成24年度の計画では、①センサ内臓装具システムの開発、②それを用いた歩行分析システムの構築、③同装置を用いた歩行分析の実施と分析、が主要な目標であった。これらの内、①については装具に掛かる外力をリアルタイムで測定できるシステムとして当初の目標どおりの機能を発揮するものが製作できた。②については、膝や足関節などにセンサを用いることで、装具歩行を分析するシステムとして完成させることができた。さらに、③の歩行分析の実施については、被験者は5名であったが概ね目標となる実験を行うことができ、また、実験結果を分析することで、装具による歩行の支援あるいは制限に対する定量的なデータを取得することができた。 以上のことから、当該年度においては、ほぼ研究目的が達成できたものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後進める研究は以下のとおりである。 ①引張圧縮試験(静的実験):前年度進めたデータを元に、装具に対し引張圧縮試験を実施し、そのときの応力-ひずみ線図を得るとともに、3次元測定器を使用し、荷重に対する装具の変形量を得る。これらのデータは装具の特性を代表するパラメータとして後の分析に備える。②健常者による歩行実験(動的実験):前年度の歩行実験と同様の実験をトリミングした装具により実施する。なお、上記①の静的試験と本実験はトリミングが終了するまで、繰り返し実施する。③動的-静的実験データの分析:上記②の動的実験で得たパラメータと①の静的実験の数値の値を記録したデータベースを作成する。また、そのデータに対し、静的実験結果が動的実験結果にどの程度影響するか、また、大きく関連するパラメータは何かを求める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度では、装具製作および追加センサの購入等に物品費を充当する。 また、3次元測定装置にも物品費を使用する。 国内学会での研究報告のために旅費も使用する。
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